2019年5月17日に、厚生労働省が2018年(平成30年)の「労働災害発生状況」を公表しました。これによると、陸運業(陸上貨物運送事業)での死亡者数は前年より減少しましたが、死傷者数は前年より増加しました。

そこで今回は、陸運業における労働災害発生状況についてご紹介します。(※本ニュースのデータはすべて厚生労働省「平成30年労働災害発生状況の分析等」より当社にて編集したものです。)

 

陸運業の労働災害発生状況

死亡者数は前年より減少

2018年の労働災害による死亡者数は102人で、前年より35人減(前年比-25.2%)となりました(図1)。

死傷者数は前年より増加

2018年の休業4日以上の死傷者数は15,818人で、前年より1,112人増(前年比+7.6%)となり、3年連続で増加しました。また、死傷者数が15,000人を超えたのは、2008年(平成20年)以来、10年ぶりのことです(図2)。

増加の原因については厚生労働省「平成30年労働災害発生状況の分析等」によると、2018年は輸送活動の大きさを示す貨物自動車の輸送トンキロ数が高い数準で推移しており、陸運業の需要の増加もあったと考えられるとしています。

陸運業の事故の型別発生状況

死亡災害は「交通事故」が最も多い

労働災害による死亡者数を「事故の型別」でみると、最も多いのは「交通事故」で47人、次いで「墜落・転落」14人、「はさまれ・巻き込まれ」10人の順となっています(図3)。

死亡災害では「高温・低温物との接触」が増加

労働災害による死亡者については、多くの型別で前年より減少していますが、「高温・低温物との接触」については、2017年は0人だったのに対し、2018年は7人と大きく増加しています。
増加の原因について厚生労働省の「平成30年労働災害発生状況の分析等」によると、2018年の猛暑の影響による熱中症が増加したこととされています。

死傷災害は「墜落・転落」が最も多い

労働災害による死傷者数を「事故の型別」でみると、最も多いのは「墜落・転落」で4,410人、次いで「転倒」2,651人、「動作の反動・無理な動作」2,404人、「はさまれ・巻き込まれ」1,674人の順で、いずれも前年より増加しています。
なお、交通事故による死傷者数は前年より減少しました(図4)。

執筆者情報

記事の作成・編集:MS&ADインターリスク総研

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