◆お気に入りのおもちゃ遊びが一転・・・

K君(2歳)は、音に反応して動くパンダのおもちゃがお気に入りです。お気に入りのおもちゃが電池切れをおこした為、保育士Yさんは、新しい電池を手にして戻ると、おもちゃの脇に置いた古いボタン電池が見当たりません。少し動揺したYさんは、テーブルの下や積み木箱の中、K君のポケットを探しましたが見当たりません。動揺し始めたYさんは『ボタン電池を飲み込んで病院で手術を受けて取り出した事例』を思い出し、園長に報告をしたところ「他の職員を集めて、今すぐ部屋を探しなさい!あわせて受診の手配も!」と職員に指示を行いました。Yさんは、震える手でスマホを握り、かかりつけ医の連絡先確認を始めました。

◆子どもは誤飲しやすい

幼い子どもの口の大きさは直径で約4cmと言われています。これより小さく子どもの口の中に入るものならば、なんでも誤嚥や窒息の可能性があります。とくに2cm程度の小さなおもちゃは、のどを詰まらせやすく、窒息のおそれがありますので注意が必要です。

◆ボタン電池は特に注意が必要!!

子どもが誤飲する物は様々ですが、中でも近年、数々の事故報告が寄せられ、かつ、危険性が特に高いもののひとつが、「ボタン電池」です。
子どもが「ボタン電池」を誤飲した際に、気道を塞いでしまい窒息を起こす危険性がある他に、ボタン電池が気道や胃の粘膜に接触してしまい電流が流れると電気分解により電池の外側にアルカリ性の液体が作られ、短時間で消化管の壁に損傷が起こります。そのため早く取り出さないと、消化管に潰瘍ができたり穴が開くなどの恐れがあリます。

出典:消費者庁「乳幼児(特に1歳以下)のボタン電池誤飲に注意」

◆子どもの誤飲・誤食対応の考え方とは

子どもの誤飲・誤食対応については『気を付ける』だけではなく、ポイントを押さえて対応を考える必要があります。以下2つのポイントで整理をしましたので、参考にしてください。

POINT1.子どもの口に入る大きさの物は周りに置かない

トイレットペーパーの芯は、直径約4cmで、子どもの口の大きさとほぼ同じです。トイレットペーパーの芯に入ってしまう程度の大きさの物は、子どもの周りに置かないようにしましょう。
「ボタン電池」を使う電子機器はテーブルの上に置く、子どもの前で電池交換をしないなど、子どもが「ボタン電池」に触れないようにしましょう。

POINT2.リスクを分けて対応する

誤飲・誤食で発生するリスクを3つに分けてリスクごとの防止・対応・優先順位を検討しましょう。
(1)誤飲・誤食すると即生命に関わる毒性の強い物品(日用品)
  電池類、殺虫剤、防虫剤、石油・ガソリン類、塩素系漂白剤、マニュキア液、除光液、アルカリ性洗浄
  剤、薬、タバコの浸出液
(2)誤飲・誤食するとケガをするおそれのあるもの
  画鋲、針、刃物など鋭利なもの
(3)誤飲・誤食すると窒息のおそれがあるもの
  ぼそぼそしてのどに詰まるもの、紙オムツの吸収ポリマー(食道内で水分を吸収し膨張するので窒息
  するおそれがある)

執筆:八重樫 貴之 (作業療法士)

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