令和5年7月21日に「トラックGメン制度」が創設され、荷主等に起因する長時間の荷待ちや、運賃・料金等の不当な据え置き等の監視が強化され、悪質な荷主等に対する是正のための「働きかけ」や「要請」が大幅に増加しました。今回は、トラックGメンの活動実績等をご紹介します。

◆トラックGメン制度発足後の活動実績

国土交通省は、適正な取引を阻害する行為を是正するため、貨物自動車運送事業法に基づき、荷主企業・元請事業者への 「働きかけ」や「要請」等を実施してきました。しかしながら、荷主等に起因する長時間の荷待ちや、運賃・料金等の不当な据え置き等が十分に解消されていないことから、令和5年7月21日に「トラックGメン制度」を創設し、 「働きかけ」や「要請」等の強化が図られました。
その結果、発足から10月末までの約3か月間に「働きかけ」が166件、「要請」が6件実施され、月当たりの平均実施回数は発足前の1.8件から57件と大幅に増加しました。(図1)

◆調査結果に基づく違反原因行為の割合

国土交通省が2023年9月~10月にかけて、荷主等の違反原因行為に関して全トラック事業者を対象にした調査結果によると、「長時間の荷待ち」が38%で最も多く、次いで「運賃・料金の不当な据置き」が22%、「契約にない附帯業務」が20%となっています(図2)。この調査結果やこれまで入手した情報を基に、国土交通省は悪質な荷主等に対し、「要請」「勧告・公表」を行い、早急な是正を促していくとしています。

◆違反原因行為に対する要請事例

国土交通省のホームページには、違反原因行為に対する要請の事例が掲載されています。その中から2事例を、ご紹介しましょう。

<違反原因行為>長時間の荷待ち
<内容>荷待ちに係る情報(数年前から最大7時間に及ぶ荷待ちが発生など)が複数寄せられ、長時間の荷待ちが発生していることが疑われたため、令和5年9月に要請を実施

<違反原因行為>長時間の荷待ち契約にない附帯業務
<内容>荷待ち等に係る情報(日常的に4、5時間の荷待ち発生やラベル貼りをさせられるなど)が複数寄せられ、長時間の荷待ち及び契約にない附帯業務が発生していることが疑われたため、令和5年10月に要請を実施

執筆者情報

記事の作成・編集:MS&ADインターリスク総研株式会社

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