貨物自動車運送事業輸送安全規則第2条の8において、一般貨物自動車運送事業者等は輸送の安全にかかわる情報を公表しなければならないことが定められています。この公表義務は、保有車両台数が200両以上などの安全管理規程の作成が義務づけられている事業者だけでなく、全ての一般貨物自動車運送事業者等に義務付けられています。そこで今回は、安全情報の公表義務についてご紹介します。

 

1 安全情報の公表義務の根拠規定

安全情報の公表義務については、貨物自動車運送事業輸送安全規則(以下、安全規則といいます。)第2条の8において、下記のように定められています。
※貨物自動車運送事業法(以下、法といいます。)

1 一般貨物自動車運送事業者等は、毎事業年度の経過後100日以内に、輸送の安全に関する基本的な方針その他の輸送の安全に係る情報であって国土交通大臣が告示で定める事項について、インターネットの利用その他の適切な方法により公表しなければならない。

2 一般貨物自動車運送事業者等は、法第23条(法第35条第6項において準用する場合を含む。)、第26条又は第33条(法第35条第6項において準用する場合を含む。)の規定による処分(輸送の安全に係るものに限る。)を受けたときは、遅滞なく、当該処分の内容並びに当該処分に基づき講じた措置及び講じようとする措置の内容をインターネットの利用その他の適切な方法により公表しなければならない。

※法第23条は「輸送の安全確保の命令」、第26条は「事業改善の命令」、第33条は「許可の取消し等」が定められています。

2 国土交通大臣が告示で定める事項

安全規則第2条の8第1項に掲げられている「国土交通大臣が告示で定める事項」とは、国土交通省告示1091号「貨物自動車運送事業者が公表すべき輸送の安全に係る情報」をいい、その主な内容は次のとおりです。

全トラック運送事業者に公表が義務づけられている事項

① 輸送の安全に関する基本的な方針
② 輸送の安全に関する目標及びその達成状況
③ 自動車事故報告規則(昭和26年運輸省令第104号)第2条に規定する事故に関する統計

※上記①~③については、保有車両数に関わらず、全てのトラック運送事業者に公表が義務づけられています。

一定規模以上(被けん引車を除く事業用自動車の保有車両数が200両以上)のトラック運送事業者に公表が義務づけられている事項

先の①~③に加えて、下記の④~⑨の事項が義務づけられています。

④法第16条第1項の安全管理規程
⑤輸送の安全のために講じた措置及び講じようとする措置
⑥輸送の安全に係る情報の伝達体制その他の組織体制
⑦輸送の安全に関する教育及び研修の実施状況
⑧輸送の安全に係る内部監査の結果並びにそれに基づき講じた措置及び講じようとする措置
⑨法第16条第2項第4号の安全統括管理者に係る情報

※被けん引車を除く事業用自動車の保有車両数が200両未満の事業者についても、⑤~⑧の事項の公表に努めることとされています。

3 情報未公表に対する行政処分

安全情報の公表が不適切であったり、公表するのを怠った場合は、通達「貨物自動車運送事業者に対し行政処分等を行うべき違反行為及び日車数等について」に基づいて、行政処分が行われます。

初回違反再違反
一部不適切(公表の実施状況が2分の1以上)警告 20日車
大部分不適切(公表の実施状況が2分の1未満)10日車30日車
未公表30日車60日車

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記事の作成・編集:MS&ADインターリスク総研

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