質問

令和5年5月8日から新型コロナウイルス感染症の感染症法上の位置付けが 「5類感染症」になりました。
これまでとの違いについて、会社として気をつけるべきことがあるでしょうか。

法律に基づき行政が様々な要請・関与をしていく仕組みから、個人の選択を尊重し、自主的な取り組みをベースとした対応に変わります。

新型インフルエンザ等感染症
(いわゆる2類相当)
5類感染症
法律に基づき行政が就業制限できる行政が就業制限することはない
行政が入院勧告や患者の行動制限をすることができる行政が一律に行動制限することはない
感染して症状がある場合は発症から 7 日間経過し、
かつ症状軽快から 24 時間経過するまで出勤停止
感染し発症した場合は 5 日間を経過し、
かつ解熱した後 24 時間様子をみることを推奨

1.感染により労働者を休ませる場合の措置

 これまで都道府県知事が行う就業制限により労働者が休業する場合は、一般的には「使用者の責に帰すべき理由による休業」には該当しないと考えられ休業手当を支払う必要はありませんでした。5 類移行後は、濃厚接触者であったり軽症状で労務が可能であるにもかかわらず社内感染リスクを避けるために出勤停止とする場合は、労働基準法第 26 条に基づき、使用者は休業期間中の休業手当(平均賃金の 100 分の 60 以上)を支払わなければなりません。

2.出勤停止期間の目安

 5 類移行後は、感染時に外出を控えるかどうかは個人の判断に委ねられますが、発症後 5 日間が他人に感染させるリスクが高いことから、発症日を 0 日目として 5 日間は外出を控えることが推奨されています。出勤を停止とする期間は業務に与える影響と感染リスク等を含めて総合的に判断し適切に定めてください。
 5 日目に症状が続いていた場合は、熱が下がり、咳などの症状が軽快して 24 時間程度が経過するまでは外出を控え様子を見ることを推奨。

3.感染により労働者が会社を休む場合

 症状があり労働者が会社を休む場合、有給休暇を取得したり、要件がそろえば傷病手当金を受給することができます。なお、新型コロナウイルス感染に係る傷病手当金については療養担当者の意見は臨時的に不要とされていましたが、5月8日以降の申請は医師の証明が必要となります。
 また、業務に起因して感染したものであると認められる場合には労災保険給付の対象となり、こちらの取り扱いについても変更はありません。


5類移行により行政からの行動制限がなくなったことで出社が増えることが予想されます。発症後5日間は他人に感染させるリスクが高いことを忘れずに、発症したら感染させないための行動を選択しましょう。

執筆者情報

資料作成:社会保険労務士法人アーク&パートナーズ

こちらの記事もおすすめです