はじめに

就学前施設には、様々な子ども達が通ってきます。子ども達も十人十色なら、保護者の皆様も千差万別なのではないでしょうか。そうした状況の中で、何か1度大きなエピソードがあると「〇〇君は△△な子だから」「□□さんの家は、××だから」というイメージが付いてしまいます。そのようなイメージを持つことは仕方のないことですが、一度抱いたイメージは、なかなか脱却出来ないという弊害もあります。

無意識に発生する「思考の偏り」(=認知バイアス)の一部

バイアスの種類バイアスの内容
確証バイアス自分にとって都合のいい情報ばかりが目に入り、都合の悪い情報が目に入りにくくなる現象
ネガティビティバイアスポジティブなイメージよりネガティブなイメージの方が注目されやすく、記憶にも残りやすい現象
ハロー効果ある対象物を評価する際、目立つ特徴に引きずられるように、他の特徴についての評価までが歪められる現象

思考の偏りを防ぐ具体的な方法

客観的な視点を意識する
 人は物事を判断する時に、自分の主観で判断をすることが大半です。それは悪いことではありませんが、「自分がそのような判断をした根拠は何なのか」「他の人はどう考えているか」といった客観的な視点を意識することも大切です。
外部の視点からの気付きを大切にする
 そうした客観的な視点を意識する際に役に立つのは、他の人からの視点です。就学前施設であれば、「新任の先生が担任になった」「他の園から先生が異動してきた」というタイミングは良いきっかけの一つになります。また、外部の専門職等が巡回したり、訪問したりする場面で相談してみるのも良いでしょう。
バイアスの無い人はいない、意識をすることが大切!
 「様々な判断をする際の主観やバイアス」というのは、誰にでも生じるものです。そして、それを皆無にすることは不可能です。 しかし、自分が今「主観によりすぎた判断をしている」「過去のイメージからのバイアスに引きずられている」といったことに気付くことは可能です。そうしたことに気付いた際に、一度客観的な視点を意識すると子どもや保護者の新たな一面を発見することができます。

無意識の内にかたよった見方をしていないか客観的に考える時間を作ってみましょう

執筆者

加勢 泰庸 (作業療法士・保育士・公認心理師)

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