事例

「父Xが3年前に亡くなり、その直後に母Yも亡くなり、1年後に長女Zも亡くなってしまいました。今からでも手続きできますか?」とAさんからお電話をいただきました。
立て続けにご家族を亡くしてから、お父様名義の土地の相続についてはご兄弟と話もせずに時間が過ぎ、このたび、やっと手続きをしようと思ったとのことでした。長女のZさんは生涯独身だったため、Xさん、Yさん、Zさんのご相続人はAさん含め妹Bさん、弟Cさん、弟Dさんの4名となります。
預貯金等は各相続発生時に相続人で均等に分割する手続きを済まされたそうですが、土地については、ご相続人の皆様ともに「均等に分割したい」とのお考えはあるものの、実際どのように手続きをしてよいかが決まらぬまま、未だにXさん名義のまま残ってしまっているとのことでした。

結果

Aさんとの話の中で、「共有名義で登記を行うのか?面積で分割するのか?価格で分割するのか?建築や利用可能な区分けに分割できるのか?」など、疑問点や土地の分割方法・順番等、ご質問があり、説明をさせていただきました。
相続人間でも話し合いをしていただいた結果、4人の相続人のうちBさんとCさんの相続分も含めてAさん名義で、土地の3/4を相続し、BさんとCさんはAさんから「代償分割」としてその相続分を現金で受取り、Dさんは不動産の1/4を相続するという内容で決定しました。手続きとして、まずは土地の測量を行い、2つに分割する分筆登記を行います。その上で遺産分割協議を行い、Aさん、Dさんがそれぞれ土地を取得する内容で相続登記をします。そして、AさんがBさんCさんに代償金を支払うという順序で進めていくことになりました。
お手続きの見通しがたった頃、Aさんからは、「長い間考え悩んでいたことが解決し、自分の子供に問題を残さないで済みました」と笑顔で仰っていただきました。

色々な遺産分割の仕方

相続が発生して遺言がない場合、遺産はいったん相続人全員の共有財産となり、相続人全員が遺産分割協議をすることによって遺産を具体的に取得します。相続人間で持分を定めて共有するという方法を考えがちですが、不動産の場合には、利用や処分の自由度が低く、次の相続が起こると権利関係が複雑になる為、お勧めできません。遺産の内容や各相続人の事情に応じて、下記の方法を使い分けて遺産分割協議を行うのが望ましいと思われます。

●現物分割

土地は長男、株式は長女というふうに、遺産の個々について分ける方法です。相続人間で合意があれば問題はありませんが、相続分きっちりの分割は難しくなります。

換価分割

換価分割は遺産を売却等で換価して金銭で分ける方法です。

●代償分割

代償分割は現物を換価できない(しない)場合などで、一部の相続人が相続分以上で現物を取得した場合に、他の相続人に対してその相続分相当額を支払う方法です。
今回の事例のように、土地を分筆して遺産分割をする場合、地積を正確に測量し、分筆登記後に地番が割り振られてから、遺産分割協議し相続登記する、という順序が一般的です。先に共有名義で相続登記すると、共有状態で分筆され、その後、交換による移転登記が必要になるなど、余計な費用や税が発生する為、注意が必要です。

執筆者情報

事例発行元:相続手続支援センター事例研究会

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