質問

妊娠中の社員から死産の連絡がありました。会社側ではどのような配慮が必要でしょうか。

妊娠85日(4カ月)以上の出産であれば、死産であっても産後休暇(原則8週間)の取得が必要です。産後休暇後も心身が回復しない場合は、必要に応じて母性健康管理指導事項連絡カードを活用ください。

母性健康管理措置について

妊娠中、および産後1年以内の女性社員が健康診査等で主治医から休業等の指導を受けた場合、事業主は必要な措置を講じることが義務付けられています。

【母性健康管理措置には次のような措置があります】
  ・妊娠中の通勤緩和(時差通勤、勤務時間の短縮等)
  ・妊娠中の休憩に関する措置(休憩時間の延長、休憩回数の増加等の措置)
  ・妊娠中または出産後の症状に関する措置(作業の制限、勤務時間の短縮、休業等)

※なお、労働基準法により、時間外、休日労働、深夜業の制限については妊娠中、産後1年以内の女性労働者は、主治医からの指導がなくても請求が可能です。

母性健康管理指導事項連絡カードについて

母性健康管理指導事項連絡カード(※以下「母健連絡カード」)とは、事業主が、母性健康管理措置を適切に講じるために、主治医等の指導事項の内容を的確に伝えるためのカードです。

【女性労働者は・・・】

妊娠中や産後に出る身体的な症状で仕事に影響が出る場合は、健診の際に主治医に「母健連絡カード」の記載をお願いしましょう。

【事業主は・・・】

母健連絡カードに記載された指導内容に基づき、適切な措置を講じる必要があります。

母健連絡カードは「妊娠中及び出産後の女性労働者が保健指導又は健康診査に基づく指導事項を守ることができるようにするために事業主が講ずべき措置に関する指針」に、その様式が定められています。こちら

母健連絡カードは、あくまでも医師等の指導事項を事業主に的確に伝えるためのものですので、母健連絡カードがなくても、女性労働者の申出があれば事業主は母性健康管理措置等を講じる必要があります。

 しかしながら、妊娠出産による症状は人により様々なため、医師等による措置を口頭で伝える場合、適切な対応が難しい場合もあります。母健連絡カードの活用は女性労働者、事業主双方にとって望ましいものといえるでしょう。

 なお、事業主は母性健康管理措置等の母性保護措置を受けたことなどを理由として、解雇その他不利益な取り扱いをしてはならないとされています。(男女雇用機会均等法第9条)

執筆者情報

資料作成:社会保険労務士法人アーク&パートナーズ

こちらの記事もおすすめです