質問
令和6年から労働条件明示のルールが変更になるそうですが具体的に何が変わるのでしょうか。
労働契約締結・更新のタイミングの労働条件明示事項が下記のように追加されます。
明示のタイミング | 新しく追加される明示事項 |
【すべての労働契約】 締結時と更新時 | ①就業場所・業務の変更の範囲 |
【有期労働契約】 締結時と更新時 | ②通算契約期間や更新回数の上限の有無と内容 |
【有期労働契約】 無期転換ルールに基づく、 無期転換申込権が発生する契約の更新時 | ③無期転換申込機会(申し込みができる旨) ④無期転換後の労働条件 |
1.就業場所・業務の変更の範囲
これまでも「就業の場所および従事すべき業務に関する事項」は明示事項でしたが、今回の改正により、雇入直後の就業場所・業務のみならず、将来変更する可能性やその範囲についても明示する必要があります。
明示の内容については、就業場所・業務の範囲が限定されている場合にはその内容を特に限定がない場合でも「会社の定める事業所」などと明示することが考えられます。
2.通算契約期間や更新回数の上限の有無と内容
通算契約期間や更新回数の上限の有無について明示することと併せて、最初の契約締結以降に「更新上限を新たに設ける」又は「更新上限を短縮する」場合には、あらかじめその理由について労働者に説明する必要があります。
3.無期転換申込機会と④無期転換後の労働条件
初めて無期転換申込権が発生する有期労働契約の締結時だけでなく、それ以降に有期労働契約を更新する場合にも毎回明示をする必要があります。「無期転換後の労働条件」については、期間の定めのほか、賃金や労働時間など書面で明示すると定められている事項については書面の交付が必要です。また、無期転換後の労働条件については就業の実態に応じて待遇の均衡を考慮することが求められております。そうした均衡を考慮した事項については、労働者に説明する努力義務が定められています。
改正の背景には、労働契約関係の明確化による労使紛争防止や無期転換のルールの見直しによる制度利用強化の狙いがあります。よって単なる様式変更の対応にとどめず、法改正と照らし合わせて自社の人材活用の仕組みも改めて検討してみてはいかがでしょうか。
執筆者情報
資料作成:社会保険労務士法人アーク&パートナーズ