常時10人以上雇っている会社には、就業規則の作成および届出義務があります。ただし、昨今のような労働環境が複雑化している中では、これまで以上にルール決めが大切です。

 

有給休暇について②

有給休暇の基本ルール

■労働者の時季指定権労働者が希望した日に有給を取得する権利のことです。
■使用者の時季変更権繁忙期等で、正常な業務の運営を妨げたり、代替要員がみつからない→ 会社から従業員に対して、有給の取得時季の変更を依頼することができます。
■時効は2年前年度に取得できなかった有給休暇は翌年度に繰り越すことができます。
■半日単位も有効原則は1日単位。ただし、労働者が希望をし、会社が合意した場合であれば、半日単位の取得も可能です。
■時間単位も有効(労使協定は労基署への届出義務なし)労使協定を締結することで時間単位の有給休暇を導入することができます。
■買い取りは不可有給休暇の目的は、リフレッシュして、次の日からいい仕事をしていただくためのお休みなので、原則、買い取りはできません。買い取りが認められるケースは、
①法定を上回る分の有給休暇 ②時効で権利が消滅してしまう有給等です。

就業規則作成時のポイント

第〇条(年次有給休暇)

~4.以降続き~
5.年次有給休暇は、特別の理由がない限り少なくとも2労働日前までに、所定の手続により届けなければならない。但し、使用者は事業の正常な運営に支障があるときは、指定した日を変更することがある。
6.無断および無届欠勤に対する年次有給休暇の振替は原則認めない。
7.年次有給休暇は次年度に限り繰り越すことができる。
8.年次有給休暇に対しては、所定労働時間労働した場合に支払われる通常の賃金もしくは平均賃金を支払う。
9.使用者は労働基準法第39条7項、同条8項にもとづいて、従業員に対して、時季を指定して有給休暇を付与することがある。
10.使用者が労働基準法第39条7項、同条8項により時季を指定して有給休暇を付与する場合は、事前に対象となる従業員の意見を聴くものとするが、使用者と従業員の有給休暇の希望時季が異なっていたとしても、使用者が時季を指定して有給休暇を付与することがある。

【解 説】

5・6. 会社として、「いつまでに申請する」「取得を認めない・変更する場合」など有給休暇の取得ルールを決めておきましょう!!

8. 有給休暇の賃金は①所定労働時間働いた賃金 ②平均賃金 ③健康保険の標準報酬日額のいずれかできめなくてはいけません。いずれかで支払うか就業規則への明記が必要です。

9・10.2019年4月1日から施行された働き方改革関連法案の中で、「年5日の有給休暇取得義務」がスタートしました。これは、年10日以上の有給休暇が付与される者に対して、会社はそのうち5日について、時季を指定してでも取得させなくてはいけないという制度です。労働基準法の第39条に追加された内容で、最低5日は従業員に有休を取得させなければ労働基準法違反となり、実施出来ない場合は30万円以下の罰金が課せられる可能性があります。

執筆者情報

記事の作成・編集:アスミル社会保険労務士事務所

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