ペットの種類は犬と猫だけ?

前回のペット防災ニュースにて『避難にも多様性を』と書かせていただきました。多様性はペットの種類にも現れており、犬、猫以外にも魚類、鳥類、爬虫類、昆虫、ハムスター、ウサギ、フェレットなど、多岐に渡ります。

「え?これ全部、指定避難所に来るの?」と思われた方・・・可能性はあります。環境省により作成された『人とペットの災害対策ガイドライン』のペットの〈用語解説〉として「本ガイドラインでは、家庭動物等のうち犬や猫などの小型の哺乳類と鳥類などを指す」とあるので、特定動物や特定外来生物に指定された動物以外は、全て指定避難所へ来る可能性があるわけです。だからといって、全ての種のゲージや餌などを用意することは不可能に近いため、それぞれの種に合ったゲージや餌、逸走した場合に備えての足環や耳標、マイクロチップなどの装着を、日頃からしておくよう飼い主へ出来る限り周知しておくことが必要です。

加えて、指定避難所内では、他の避難者への配慮から、ペットは別場所での飼育・管理することになるため、特に飼い主といる時間が長い犬や猫などは《飼い主と離れられる》トレーニングを日常からしておく必要性も、併せて周知しておくことが大切です。

補助犬への対応

「ペット同行・同伴避難はまだマニュアルができていないのでちょっと・・・」「やはり、動物が苦手な方やアレルギーの方などへ配慮すると・・・」という自治体でも、指定避難所へ避難してきた場合に断ることができない犬がいます。それは、身体障害者を補助している補助犬(盲導犬、聴導犬、介助犬)です。このペット防災ニュースは『人とペットの災害対策ガイドライン』に沿って、指定避難所運営に携わる職員の皆様へ向け、ペット同行・同伴避難について書かせていただいていますが、この補助犬はペットではありません。つまり、補助犬の扱いはガイドラインではなく、法律に基づいて対応しなくてはなりません。

その法律とは、身体障害者補助犬法の第四章「国等、地方公共団体は管理する施設を身体障害者が利用する場合において補助犬を同伴することを拒んではならない」であり、ここでいう「同伴」の意味は、身体障害者の安全や生活を補助する目的で付き添うことなので、身体障害者と補助犬を引き離すことなく、指定避難所においても受け入れるべきであると考えられます。

しかし、他の避難者からすれば犬は犬なので、その身体障害者家族は別室へ入ってもらったり、他の避難者への周知を行なう等の対応はしておきたいところです。

また東北で…

2月13日(土)23時過ぎ。こちらの原稿を書き始めようとノートパソコンを起ち上げた瞬間に、小さな円を描くような横揺れから、大きな円に。
福島県・宮城県で最大震度6強、マグニチュード7.3、東日本大震災の余震と見られている地震が発生しました。東北でも2011年4月以来の大地震となりました。都内の我が家でも、足元に寝ていた愛犬に「ハウス」の指示を出しながら、寝ている2歳半の娘に慌てて覆いかぶさりました。夜明けへ向け、福島県、宮城県を中心に避難所が開設され始め、体育館のようなところに青い小さなテントが等間隔で並んでいます。
新型コロナウイルス対策もあり、以前よりは間隔をあけた避難所が増えているようです。
避難所運営や復旧に尽力されている全ての皆様のご無事を強く、強く祈ります。

執筆者情報

記事の作成・編集:株式会社まつもとひでき 代表 ドッグトレーナー、犬を愛する防災士・松本秀樹

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