デジタル田園都市国家構想交付金制度概要本説明会

 今回で3年目になるデジタル田園都市国家構想交付金の説明会が、2023年10月から開催されています。9月の中旬に内閣改造があった関係で開始が少し遅れましたが、結果的には非常に手厚い説明会になりました。また、2023年12月14日には内閣府の個別の委託事業ではありますが「デジタル実装計画策定支援事業説明会」を行っています。
 デジタル実装計画策定支援事業とは、デジタル田園都市国家構想交付金デジタル実装タイプに取り組むためのノウハウや知識がなく、どういった地域課題にデジタル技術を実装できるかわからない自治体などに対して提供される新たな伴走支援事業です。説明会の中では「タイプゼロ(タイプ0)」との呼称で説明していました。

◇1回目のプレ制度説明会 2023年10月20日
◇2回目のプレ制度説明会 2023年11月16日
◇本説明会 2023年12月12日/2023年12月21日
(参考として昨年は、10月4日が第1回の説明会でした。)。

 デジタル田園都市国家構想交付金制度概要本説明会の1回目である12月12日は2部構成で行っていて、第1部を「デジタル実装タイプTYPE1/地方創生テレワーク型」第2部を「地方創生推進タイプ(先駆型・横展開型・Society5.0型)/地方創生拠点整備タイプ」について説明をしています。

 また、デジタル田園都市国家構想交付金制度概要本説明会の2回目である12月21日はTYPE2/3制度を説明しています。デジタル田園都市国家構想交付金の予算は、R6要求(2024年度要求)は1,200億円でR5補正(2023年度補正)は735億円です。

 昨年よりは減りましたが、地域のデジタル化に対して、国が歩みを止めない姿勢と受け取れます。R5補正の内訳は以下です。

  • デジタル実装タイプ:360億円
  • 地方創生拠点整備タイプ:300億円
  • 地域産業構造転換インフラ整備推進タイプ(仮称):60億円
  • 地方創生推進タイプ:15億円(万博の開催を契機として、各都道府県において新たに実施する地方創生に資する取組を支援)
出典:デジ田甲子園2023募集概要より抜粋

本説明会での概要

冒頭の口頭での説明としては、

  • 例年を上回る問い合わせの状況
  • 3年目なので優良事例の横展開の配慮がされていることにより加点
  • 初めて交付金に取り組む自治体を拾い上げる

等を触れています。

 デジタル田園都市国家構想交付金の中でも多くの自治体が予算申請を行うデジタル実装タイプの目的は、デジタルを活用した意欲ある地域による自主的な取組を応援し、「デジタル田園都市国家構想」を推進するため、デジタルを活用した地域の課題解決や魅力向上の実現に向けた地方公共団体の取組を交付金により支援するものです。

デジタル実装タイプも以下の通りいくつかのタイプに分かれています。

<デジタル実装タイプ>
【TYPE 1】
他の地域等で既に確立されている優良なモデル・サービスを活用して迅速に横展開する取組
【TYPE 2】
オープンなデータ連携基盤を活用し、複数のサービス実装を伴う、モデルケースとなり得る取組
【TYPE 3】
(TYPE2の要件を満たす)デジタル社会変革による地域の暮らしの維持につながり、かつ総合評価が優れている取組
【TYPE S】
「デジタル行財政改革」の基本的考え方に合致し、将来的に国や地方の統一的・標準的なデジタル基盤への横展開につながる見込みのある地方自治体の先行モデル的な取組

 上記の共通要件は以下の通りです。昨年までの取り組み状況を見ていると大きな予算を活用する取り組みほど、ステークホルダーが増え、②で触れられている連携などに苦労をしている地域が出ています。

①デジタルを活用して地域の課題解決や魅力向上に取り組む
②コンソーシアムを形成する等、地域内外の関係者と連携し、事業を実効的・継続的に推進するための体制を確立

 昨年度の説明と比較すると、重点の置かれているポイントが変化していることが分かります。TYPE 3には、国費の支出額の上限が昨年と比較すると下がってはいますが、AIを高度活用した準公共サービスの創出という文字が入り、デジタル分野にAIの活用を推進したいという意図が垣間見えます。また、TYPE 3の上にTYPE Sが入り、統一的なデジタル基盤により、元々デジタル田園都市国家構想が目指していた「どの地域でもデジタルにより生活を豊かに!」という構想に少しずつ近づいていると感じさせられました。

(ご参考)TYPE別の内容

2023年12月の説明会資料でのTYPE別の内容

2023年12月の説明会資料でのTYPE別の内容

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執筆者情報

著者 株式会社カルティブ 代表取締役 池田 清

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