睡眠不足に起因する交通事故を防止するため、貨物自動車運送事業者には、点呼時の睡眠不足の有無の確認等が義務づけられています。
そこで今回は、睡眠不足の状態で乗務することを防止するために事業者に義務づけられている事項をご紹介します。

 

1 事業者に義務づけられている事項

睡眠不足は漫然運転や居眠り運転による重大事故の大きな要因になります。そのため貨物自動車運送事業輸送安全規則(以下、「安全規則」といいます。)第3条第6項において、睡眠不足により安全な運転をし、又はその補助をすることができないおそれがある乗務員を事業用自動車に乗務させてはならないことが義務づけられています。

また、安全規則第7条第1項及び第3項において、乗務開始前点呼及び中間点呼では、睡眠不足等により安全な運転をすることができないおそれの有無について確認しなければならないことが定められています。

2 睡眠不足の有無の確認方法等

睡眠不足等により安全な運転をすることができないおそれがあるかどうかの判断については、「睡眠不足に起因する事故防止対策の強化についてよくある質問」(国土交通省)において、運転者からの申告の他、運転者の顔色、仕草、話し方も含めて普段の様子と違うところがないかどうか等から総合的に行うことが重要とされています。

また、睡眠時間については、運転者により個人差があるため、何時間が必要といった一律の基準は設けられていません。なお、睡眠時間が6時間未満の者では7時間の者と比べて居眠り運転の頻度が高いなどの研究結果が示されていることから、6~7時間の連続した睡眠をとることが推奨されています。

3 運転者に義務づけられている事項

安全規則第17条において、運転者の遵守事項として、睡眠不足等により安全な運転をすることができない等のおそれがあるときは、その旨を事業者に申し出ることが定められていますので、この点を運転者に徹底しておく必要があります。
なお、この申し出は、乗務開始前や中間点呼時だけでなく、運転者が乗務開始後に眠気を感じたときも含まれることに留意してください。

睡眠不足に起因する事故を防止するためのマニュアル・資料等(※いずれも各省、団体のホームページより入手可能です。)

【国土交通省】
・「自動車運送事業者が事業用自動車の運転者に対して行う一般的な指導及び監督の実施マニュアル」
・「睡眠不足に起因する事故防止対策の強化についてよくある質問」

【厚生労働省】
・「健康づくりのための睡眠指針2014~睡眠12箇条~」

【全日本トラック協会】
・「安全運転・健康運転のためのトラックドライバー睡眠マニュアル」

執筆者情報

記事の作成・編集:MS&ADインターリスク総研

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