2019年は、改正貨物自動車運送事業法 (2018年12月14日公布)の一部が7月と11月に施行され、それに伴い、関連する改正貨物自動車運送事業法施行規則、及び改正貨物自動車運送事業輸送安全規則も同時に施行されました。
また、乗務記録への記載事項が追加され、道路交通法では走行中のスマートフォンや携帯電話(以下「スマホ等」といいます。)の使用に係る罰則が強化されました。
そこで今回は、2019年に施行されたトラック運送事業に係る主な法令をまとめてみました。

 

1 貨物自動車運送事業法と関連法

改正貨物自動車運送事業法の施行に伴い、それに関連する改正貨物自動車運送事業施行規則及び改正貨物自動車運送事業輸送安全規則も施行されました。

荷主対策の深度化(2019年7月1日施行)

① 荷主の配慮義務
・荷主の必要な配慮に関する責務規定(法第63条の2)

② 荷主勧告制度の強化
・荷主勧告制度の対象追加と荷主名の公表規定(法第64条)

③ 国土交通大臣による荷主への働きかけ等
・違反原因行為の疑いのある荷主への国土交通大臣による働きかけ等(2024年までの時限措置 法附則第1条の2)

事業者が遵守すべき事項の明確化(2019年11月1日施行)

① 輸送の安全に係る義務の明確化
・事業用自動車の定期的な点検・整備の実施等(法第17条・輸送安全規則第3条の2~4、第6条、第34条)

② 事業の適確な遂行のための遵守義務
・車庫の整備・管理(法第24条の4・施行規則第14条)
・健康保険法等により納付義務を負う保険料等の納付(法第24条の4・施行規則第14条)

規制の適正化(2019年11月1日施行)

① 約款の認可基準の明確化
・適正運賃及び料金の収受(法第10条)

② 事業許可の基準の明確化
・事業計画の変更(施行規則第6条)
・安全性確保(法第6条・施行規則第3条の4)
・事業の継続遂行のための計画(法第6条・施行規則第3条の5)
・事業の継続遂行のための経済的基礎(法第6条・施行第3条の6)

③ 欠格期間の延長等(法第5条・施行規則第3条の2~3)
・欠格期間の延長
・処分逃れのための自主廃業を行った者の参入制限
・密接関係者が許可の取消処分を受けた者の参入

2 貨物自動車運送事業輸送安全規則

乗務記録については、車両総重量8トン以上または最大積載量5トン以上のトラックに乗務した場合で、荷主の都合により30分以上待機したときは「荷待ち時間」等を記載することになりましたが(2018年7月1日施行)、乗務記録への記載事項が追加されました。

乗務記録の記載事項の追加(2019年6月15日施行)

○記載の対象となる作業(輸送安全規則第8条)
・荷役作業 (例)積込み、取卸し
・附帯業務 (例)荷造り、仕分、横持ち・縦持ち、棚入れ、ラベル貼り、はい作業

※契約書に実施した荷役作業等の全てが明記されている場合は、所要時間が1時間未満であれば荷役作業等についての記録は不要。

3 道路交通法

スマホ等使用に対する罰則強化(2019年12月1日施行)

走行中にスマホ等を使用したり、「交通の危険」を生じさせた場合の罰則が大幅に強化されました。

執筆者情報

記事の作成・編集:MS&ADインターリスク総研

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