ここ数年、温暖化等の影響により猛暑日が増加傾向にあり、熱中症対策は重要な課題となっています。厚生労働省では、事業所における熱中症予防対策を推進するため、令和2年5月1日から9月30日までの期間を定めて、「STOP!熱中症 クールワークキャンペーン」(以下、キャンペーンといいます。)を展開しています。
そこで今回は、キャンペーンの概要をご紹介します。

 

キャンペーンの趣旨

このキャンペーンは、職場における熱中症予防対策の浸透を図るとともに、重篤な災害を防ぐために、事業場におけるWBGT値(下記参照)の把握や緊急時の連絡体制の整備等を特に重点的に実施し、重篤な熱中症災害を防止することを趣旨としています。

熱中症にかかると、めまい、失神、筋肉の硬直、大量の発汗、頭痛や吐き気、意識障害などの危険な事態に陥ります。
トラック運送事業においても、屋外での荷物の積卸作業時はもちろんですが、万一運行中に熱中症が発症すれば重大事故につながりますから、熱中症の予防対策にしっかりと取り組む必要があります。

事業所における重点的実施事項

キャンペーン中(5月~9月)における事業所の重点的実施事項として、次の事項が掲げられています。

・WBGT値(暑さ指数)の把握・評価
・作業計画に基づき、WBGT基準値を大幅に超える場合の作業時間の短縮
・労働者の健康状態の確認
7月を「重点取組期間」として設定し、次の事項に取り組むこととされています。
・WBGT値低減対策の追加実施
・水分や塩分摂取の徹底
・異常時の救急隊への要請

※ドライバーは、トイレに行きたくなると困るという理由などで水分を取らない傾向がみられるので、水分補給の指導を徹底する必要があります。

WBGT値の把握

WBGT(Wet Bulb Globe Temperature)値とは、「暑さ指数」のことで、気温と同じ「℃」で示されますが、気温に加えて、湿度や日射などを取り入れたもので、熱中症を予防することを目的とした指標です。WBGT値については、次のような区分がなされています。

○25℃未満 ➡注意
○25℃~以上28℃未満 ➡警戒
○28℃~31℃未満 ➡厳重警戒
○31℃以上 ➡危険
(日本生気象学会「日常生活における熱中症予防指針Ver.3」より当社にて編集)

WBGT値は気温とは異なります。WBGT値を正しく把握するためには、日本産業規格JIS Z 8504又はJIS B7922に適合したWBGT値測定器を用意する必要があります。

熱中症予防のための健康管理

熱中症を予防するためには、日常の健康管理が重要です。特に、睡眠不足や二日酔いは、熱中症を引き起こす大きな要因になるといわれていますから、ドライバーに対して、十分な睡眠の確保と、乗務前日の飲酒を控えるなどの健康管理面の指導を行うとともに、点呼において、睡眠不足の有無、酒気帯びの有無を必ずチェックする必要があります。

※キャンペーンの詳しい内容については、厚生労働省ホームページの「STOP!熱中症クールワークキャンペーン」をご覧ください。

執筆者情報

記事の作成・編集:MS&ADインターリスク総研

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