2019年(令和元年)に発生した事業用トラックの死亡事故を分析した「2019年1~12月の交通事故統計分析結果~ 発生地別~」(公益社団法人全日本トラック協会)が公表されました。
今回はこの分析結果の中から、死亡事故の主な特徴をまとめてみることにします。

 

死亡事故の主な特徴

○2019年に発生した事業用トラックの死亡事故は、239件で前年より14件減少しました。

○車両区分別でみると、「大型」が143件(59.8%)で最も多く、約6割を占め、次いで「中型」57件(23.8%)、「準中型」34件(14.2%)、「普通」5件(2.1%)となっています(図1)。

○事故類型別でみると、 「車両相互」が109件(45.6%)で最も多く5割近くを占め、次いで「人対車両」105件(43.9%)、「車両単独」24件(10.0%)となっています。

○事故類型別の「車両相互」の内容をみると、次のような特徴があります。
・「左折時衝突」が24件(22.0%)で最も多く、次いで「追突・駐停車中」23件(21.1%)、「出会い頭衝突」18件(16.5%)、「追突進行中」14件(12.8%)となっています(図2)。
・「大型」は73件で、「左折時衝突」が22件(30.1%)、次いで「追突・駐停車中」11件(15.1%)、「出会い頭衝突」9件(12.3%)となっています。
・「中型」は25件で、「追突・駐停車中」が9件(36.0%)、次いで「追突進行中」、「出会い頭衝突」がそれぞれ5件(20.0%)となっています。
・「準中型」は9件で、「追突駐・停車中」と「出会い頭衝突」が各3件(33.3%)となっています。
・「普通」は2件で、「出会い頭衝突」と「転回時衝突」となっています。

○交差点における「歩行者・自転車」との死亡事故をみると、次のような特徴があります。
・事業用トラックが第1当事者となる交差点における対歩行者、対自転車の死亡事故は74件で、追突事故(37件)の2倍となっています。
・直進死亡事故は29件(歩行者20件・自転車9件)、左折死亡事故は26件(歩行者2件・自転車24件)、右折死亡事故は19件(歩行者17件・自転車2件)となっており、左折時は自転車、右折時は歩行者の死亡事故が圧倒的に多くなっています。
・左折時における自転車との死亡事故24件のうち、22件は「大型」によるもので9割以上を占めています。

死亡事故を防止するために

死亡事故を防止するために、特に次の点をドライバーに指導しましょう。

・交差点では周囲の状況をよく確認するとともに、右左折時は必ず徐行して進行しましょう。

・交差点左折時は特に自転車の有無を、右折時は特に歩行者の有無をしっかり確認しましょう。

・追突事故を防止するために、常に車間距離を十分とるとともに、前方をよく見て渋滞等で停止している車を早めに発見するようにしましょう。

・日常の健康管理に留意し、疲労や睡眠不足などでの乗務を防ぎましょう。

執筆者情報

記事の作成・編集:MS&ADインターリスク総研

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