令和3年3月30日に事業用自動車に係る総合的安全対策検討委員会より、「事業用自動車総合安全プラン2025~安全トライアングルの定着と新たな日常における安全確保~」(以下、「安全プラン2025」といいます。)が公表されました。
 そこで今回は、「安全プラン2025」における主としてトラック業界に関わる概要の一部(目標達成のために当面講ずべき施策3.2まで)をご紹介します。

 

1 「安全プラン2025」とは

「安全プラン2025」 とは、(公社)全日本トラック協会や自動車事故対策機構、自動車工業会等の事業用自動車に関係する諸団体や国土交通省、警察庁の行政部門等で構成される「事業用自動車に係る総合的安全対策検討委員会」が、2025年までに事業用自動車全体、およびトラック、バス、タクシーの各事業者における事故削減目標、目標達成のために取組む施策などをまとめ公表したものです。

2 事故削減目標

事業用自動車全体の事故削減目標
① 令和7年までに24時間死者数 225人以下(この225人に平成28年から令和元年の間の24時間死者数と、30日以内死者数の比率の平均(1.14)を乗ずると260人)
② 令和7年までに重傷者数 2,120人以下
③ 令和7年までに人身事故件数 16,500件以下
④ 飲酒運転ゼロ

トラック業界の事故削減目標
① 令和7年までに24時間死者数 190人以下
② 令和7年までに重傷者数 1,280人以下
③ 令和7年までに人身事故件数 9,100件以下
④ 飲酒運転ゼロ
⑤ 令和7年までに追突事故件数 3,350件以下

3 目標達成のためにトラック事業者が取組む施策

事故削減目標を達成するために、トラック事業者が当面講ずべき施策の項目は、以下のとおりです。

1.「新たな日常」における安全・安心な輸送サービスの実現

①新型コロナウイルス感染症拡大に伴う運送労働環境の変化と附帯作業の増加への対応
②人手不足の深刻化への対応、働き方改革の推進
③激甚化・頻発化する災害への対応
④オリパラ、万博開催等に伴う人流、物流の変化への対応

施策例
・「新型コロナウイルス感染予防対策ガイドライン」の周知徹底
・高度な点呼機器の活用によるIT点呼(遠隔点呼)の対象拡大を検討
・「自動車運送事業の働き方改革の実現に向けた政府行動計画」に盛り込まれた施策の推進
・運輸安全マネジメント評価の一環として、事業者の自然災害対応への取組(防災+事業継続) に対する評価・助言等を行い、事業者の災害対応力の向上を促進
・「2020 TDM推進プロジェクト」として、 大会開催時の交通量の抑制や分散、平準化を行う「交通需要マネジメント(TDM)」を推進 等

2.抜本的対策による飲酒運転、迷惑運転等悪質な法令違反の根絶

①飲酒運転事故件数の近年の下げ止まりへの対応
②「ながら運転」の増加への対応
③社会的関心の高まる「あおり運転」への対応

施策例
・点呼の正しいタイミングの周知や、アルコール検知器の要件追加による、点呼時のアルコールチェックの強化
・運転者に対する、自身の飲酒傾向の自覚を促す指導監督の推進
・初任運転者に対する、飲酒傾向の確認や重点的なアルコールチェックによる、飲酒運転の習慣化の防止
・事業者の優良取組事例やアルコール依存症に係る周知・事業用自動車の運転者が運転中に携帯電話等を操作した全ての事案にについて、監査を実施
・講習・セミナー等において、あおり運転の悪質性・危険性について啓発 等

執筆者情報

記事の作成・編集:MS&ADインターリスク総研

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