本年8月21日に事業用トラックの事故分析資料として、全日本トラック協会より、 「2020年の交通事故統計分析結果(確定版)」が公開されました。
本データは(公財)交通事故総合分析センターによる全国の交通事故データをもとに、事業用トラック向けの視点から統計・分析したものです。この分析結果からわかる、事業用トラックの交通事故の主な特徴をご紹介します。

 

交通事故の主な特徴

車両区分別発生状況

○2020年に発生した事業用トラックの交通事故は9,449件で、前年より2,180件減少しました。

○車両区分別でみると、「大型」が3,970件(42,0%)で全体の約4割を占め、次いで「中型」が2,671件(28.3%)、「準中型」が2,261件(23.9%)、「普通」が547件 (5.8%)となっています(図1)。

※死亡事故では、「大型」が58.5%、「中型」が24.2%、「準中型」が15.0%、「普通」2.4%となっており、比較してみると、交通事故では「準中型」の占める割合が高くなっています。

事故類型別発生状況

○事故類型別でみると、「車両相互」が8,682件(91.1%)で、全体の9割を超えています。「対歩行者」(人対車両)は649件(6.8%)、「車両単独」124件(1.3%)となっています。※死亡事故では、「車両相互」が55.1%、「人対車両」が36.2%、「車両単独」が8.7%となっており、「対歩行者」の占める割合がかなり高くなっています。

○事故類型別の内容をみると、「追突」が4,447件(47.1%うち、駐・停車中3,839件、進行中608件)で全体の半数近くを占めています。次いで「出会い頭衝突」920件(9.3%)、「左折時衝突」619件(6.6%)となっています。

※死亡事故では、追突は19.3%で死亡事故全体の2割程度ですが、交通事故全体でみると、追突の占める割合がかなり高くなっています。

法令違反別発生状況

○法令違反別でみると、「安全不確認」が2,747件(29.1%)で最も多く、次いで「脇見運転」(18.2%)、「動静不注視」(14.9%)となっています。

○図2に示してあるように、「安全不確認」や「脇見運転」などは、「安全運転義務違反」といわれるもので、この違反が全体の80.7 %と8割を超えています。

※死亡事故でも、最も多いのは「安全不確認」で24.6 %を占めていますが、次いで「漫然運転」 (17.9%)、「脇見運転」 (11.6%)となっており、死亡事故では「漫然運転」の占める割合が高くなっています。

時間帯別発生状況

○時間帯別でみると、「10~11時」(10時台と11時台の2時間を示す。以下同じ)が1,608件(17.0%)で最も多く、次いで「8~9時」1,605件(17.0%)、「12~13時」1,234件(13.1%)となっており、8~11時台が多くなっています。

※死亡事故では、「4~5時台」が15.0%で最も多く、次いで「10~11時」が11.1%、「2~3時」が10.1%となっており、深夜から早朝が多くなっています。
※死亡事故全体事故を時間帯別でみると、「0~1時」が8.8%で最も高くなっており、次いで「2~3時」が8.4%、「4~5時」が6.8%、「22~23時」が4.4%で、交通事故全体の死亡事故率2.2%に比較して、深夜・早朝の割合が高くなっています。

ポイント!

このような分析結果が公表された時期をうまくとらえ、これらの内容をもとに指導監督等にご活用ください。

執筆者情報

記事の作成・編集:MS&ADインターリスク総研

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