2022年(令和4年)に発生した事業用トラックの死亡事故を分析した「2022年1~12月の交通事故統計分析結果(死亡事故)~ 発生地別~」(公益社団法人全日本トラック協会) 、および厚生労働省から「令和4年労働災害発生状況の分析等」が公表されました。今回はこの分析結果の中から、死亡事故及び労働災害の主な特徴をご紹介します。

交通死亡事故の主な特徴

2022年に発生した事業用トラックの死亡事故は169件で、前年よりも31件減少しました。
●車両区分別は、「大型」が102件(60.4%)で最も多く、次いで「中型」(準中型含む。)が62件(36.7%)、 「普通」が5件(3.0%)となっています。
●事故類型別は、 「車両相互」が79件(51.5%)で最も多く、次いで「人対車両」69件(36.0%)、「車両単独」21件(12.5%)となっています。
●「車両相互」事故の内訳は、「追突」が26件で車両相互全体の32.9%、次いで 「出会い頭衝突」12件(15.2%)、「左折時衝突」11件(13.9%)となっています(図1) 。
●交差点における「歩行者・自転車」との死亡事故は49件で、追突による死亡事故26件の約1.9倍となっています。また、右折死亡事故は17件(歩行者16件・自転車1件)、左折死亡事故は12件(歩行者3件・自転車9件)となっています。

◆交通死亡事故防止に向けて、特に次の点を指導しましょう。
・右左折時は歩行者・自転車の有無を必ず確認するとともに、いつでも停止できるよう徐行で進行することを実践させましょう。
・追突防止だけでなく、あおり運転の誤解を招かないためにも、常に十分な車間距離を保持することを徹底させましょう。

図1  車両相互の類型別死亡事故発生状況(2022年)

労働災害の主な特徴

●労働災害による死亡者数は90人で、前年よりも1人増加しました。死傷者数は16,580人で、前年よりも225人増加しました。
●事故の型別の死亡者数は「交通事故(道路)」が33人で最も多く、全数に占める割合は36.7%となっています。
●事故の型別の死傷者数は「墜落・転落」が4,294人で最も多く、全数に占める割合は25.9%となっており、次いで「動作の反動・無理な動作」が2,940人、「転倒」が2,917人となっています(図2) 。
●死傷年千人率(1年間の労働者1,000人当たりに発生した死傷者数の割合)は、9.110(前年比0.024 ポイント増・平成29 年比0.707ポイント増)で、全産業2.322 の約3.9 倍となっています。

◆労働災害の防止に向けて、特に次の点を指導しましょう。
・昇降設備の設置や保護帽の着用の徹底、テールゲートリフターによる荷役作業についての特別教育など、荷役作業時の事故防止に向けた対策を実施しましょう。
・「陸上貨物運送事業における荷役作業の安全対策ガイドライン」に基づいて、荷役作業時に作業者が遵守すべき事項についてしっかりと理解させましょう。

図2  陸上貨物運送事業における事故の型別死傷者数(2022年)

執筆者情報

記事の作成・編集:MS&ADインターリスク総研株式会社

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