ツールとしての期待効果を中小企業にフォーカスしてステークホルダーごとに解説するとともに、今、ツールとして注目されている企業版ふるさと納税についてもご説明します。

(1)ゴールであり、ツールでもあるSDGsの活用

新型コロナウィルスで多くの企業がマイナスの影響を受けています。そして自社の存在意義の確認から始まり、職場環境・マネジメント・人事制度などを内省的に見直し始めています。さらに、その答えや道筋・手法をSDGsやESGのなかに求める動きが出てきています。

理由として、SDGsは目標(ゴール)でありますが、同時に道具(ツール)という側面もあるからです。Withコロナ時代は、変革が求められます。厳しい経済環境ではありますが、生き残り、勝ち残るためにSDGsを“ツール”として使いこなし、SDGsを経営に取組むことが重要です。

ステークホルダーごとのSDGs活用の視点

①取引先(大企業)
・サプライチェーンにSDGsやESGへの協力を求めています。
・早期に取組むことでアライアンス強化や取引先開拓の差別化ポイントとして活用できます。

②従業員
・ミレニアム/Z世代と言われる若い世代は、給料などの処遇もさることながら勤務先の環境的なコミットメントを重視し始めています。
・大学や高校などでもSDGsの授業が始まっています。優秀人材の採用やモチベーションアップにSDGsが活用できます。

③政府・自治体
・内閣府に設置された“地方創生SDGs官民連携プラットホーム”の会員登録により情報収集やアライアンスの機会が広がります。
・一部の自治体ではSDGs企業登録制度を発足させています。

④金融機関
・SDGs宣言/SDGsの私募債や融資などを始めています。
・コロナ禍によって金融機関との関係が改めて重要になってきました。良好な関係を築くため、SDGsは共通言語として活用できます。

⑤消費者
・お客さまは、エシカル消費やフェアトレードへの関心を寄せ始めています。
・これからの商品サービス開発ではSDGsの視点は大切なものと言えます。

(2)企業版ふるさと納税×SDGs

企業版ふるさと納税の概要

➀令和2年度税制改正により税効果が拡大
・税額控除割合の引上げ(最大9割)や手続の簡素化等の見直しされました。
・個人版のふるさと納税と違い、肉やお酒などの返礼品が無いことや一旦キャッシュアウトが、必要な点には、留意が必要です。活用にあたっては税理士など専門家にご相談ください。
➁実証実験での活用(SDGs/ESGの推進)
・地域課題解決の実証実験を通じて自治体とのアライアンスを構築できます。
・経済的な見返りはありませんがデータなどの取得は可能です。

※寄附企業数 平成 28 年度:459 社、平成 29 年度:1,112 社、平成 30 年度:1,138 社令和元年度:1,117 社 合計:3,826 社活用する企業への「地方創生応援税制」での大臣表彰も実施されます。

執筆者情報

記事の作成・編集:株式会社ふるサポ 代表取締役 中島達朗 氏

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