このほど、平成30年に発生した事業用トラックが第一当事者となった死亡事故を分析した「平成30年1~12月の交通事故統計分析結果~発生地別~」(公益社団法人全日本トラック協会)が公表されました。
今回は、この分析結果の中から、死亡事故の主な特徴をまとめてみることにしましょう。

 

トラック死亡事故の概要と車両相互事故等の主な特徴

事業用トラック死亡事故の概要

○平成28年に事業用トラックが第一当事者となった死亡事故は253件で、前年より17件減少しました。

○車両区分別でみると、大型が143件(56.5%)で最も多く、次いで中型66件(26.1%)、準中型39件(15.4%)、普通5件(2.0%)となっています (図1)。

○道路区分別では、一般道路が210件(83.0%)、高速道路が43件(17.0%)で、一般道路が高速道路より5倍近く多く発生しています。

○事故類型別では、 「車両相互」が150件(59.3%) で最も多く6割近くを占め、次いで「人対車両」 83件(32,8%) 、「車両単独」 20件(7.9%) となっています。

○「車両相互」全体では、「左折時衝突」が32件(21.3%)で最も多く、次いで「追突 駐・停車中」 が26件(17.3%)、 「追突 進行中」と「出会い頭衝突」が、いずれも22件(14.7%)となっています(図2)。

車両区分別にみた「車両相互」の特徴

○死亡事故件数は、大型が89件(59.3%)で最も多く、次いで中型38件(25.3%)、準中型19件(12.7%)、普通4件(2.7%)となっています。

○ 「大型」では、「左折時衝突」が27件(30.3%)で最も多く、次いで、「追突 駐・停車中」 18件(20.2%)、「追突 進行中」 10件(11.2%)となっていますが、追突全体では28件(31.5%)となり、最も多くなります。

○ 「中型」では、 「追突 進行中」が10件(26.3%)で最も多く、次いで「追突 駐・停車中」4件(15.8%)、「正面衝突」、「左折時衝突」、「右折時衝突」がそれぞれ4件(10.5%)となっており、追突全体では16件(42.1%)で4割を占めています。

○ 「準中型」では、「出会い頭衝突」が8件(42.1%)で最も多く、次いで「右折時衝突」3件(15.8%)となっています。

○ 「普通」では、4件のうち3件が 「出会い頭衝突」です。

交差点での「対歩行者・対自転車」死亡事故(追突を除く)の特徴

○対歩行者は24件、対自転車は40件で、合わせると64件となり、追突死亡事故48件よりも多くなっています。

○車両区分でみると、大型が39件(対歩行者13件、対自転車26件)で最も多く、次いで中型13件(対歩行者6件、対自転車7件)、準中型11件(対歩行者5件、対自転車6件)、普通1件(対自転車1件)となっています。

○行動類型別でみると、左折時が27件(対歩行者1件、対自転車26件)で、大半は対自転車であり、そのうち22件は大型によるものです。右折時は15件(対歩行者9件、対自転車6件)で対歩行者のほうが多くなっています。直進時は22件(対歩行者14件、対自転車8件)で、対歩行者のほうが多くなっています。

○左折時の対自転車死亡事故における自転車乗用者の年齢をみると、小学生から90歳まで幅広い層にわたっていますが、60歳以上が4割近くを占めています。

死亡事故を防止するために

●大型トラックは、特に左折時における徐行や横断歩道手前での一時停止を確実に実施し、自転車(特に横断歩道の左側から進行してくる自転車)の有無を必ず確認しましょう。

●中型は、特に車間距離の確保に努めるとともに前車の動向に十分注意しましょう。

●準中型および普通は、特に見通しの悪い交差点などでの一時停止や徐行による安全確認を徹底しましょう。

執筆者情報

記事の作成・編集:MS&ADインターリスク総研

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