輸送の安全の確保に積極的に取り組んでいる安全・安心な事業所を「安全性優良事業所」として、公益社団法人全日本トラック協会が認定する制度(以下、Gマーク制度といいます。)があり、今年度の申請は7月1日より開始します。
なお、新型コロナウイルス感染拡大防止の観点から、一部の項目で特例措置が講じられています。そこで今回は、特例措置の主な内容をご紹介します。

 

Gマーク制度の特例措置の主な内容

特例措置の4つの項目

特例措置が講じられるのは、次の4項目です。

1 申請受付に係る特例措置
2 評価項目に係る特例措置
3 提出書類に係る特例措置
4 厚生年金保険料納付確認に係る特例措置

ここでは、2と4について主な内容を取り上げます。

評価項目に係る特例措置

1 安全性に対する法令の遵守状況
下記の5項目について、新規申請、更新申請A方式またはB方式を選択した場合で、巡回指導の実施が困難な場合については、直近の巡回指導結果を点数化して評価します。(直近の巡回指導結果がない場合は、期限までに巡回指導を実施。)

・項目① 事業計画等
・項目② 帳票類の整備、報告等
・項目③ 運行管理等
・項目④ 車両管理等
・項目⑤ 労基法等
※項目⑥の「運輸安全マネジメント取組状況」については特例措置はありません。

2 事故や違反の状況

特例措置はありません。

3 安全性に対する取組の積極性

「安全性に対する取組の積極性」については11項目のうち、下記の4つの自認項目に限り、新型コロナウイルス感染拡大の影響がある期間(2020年3月~6月)において、実施や受診予定であった取組みにつき、別に定める自認書で評価します。

・項目② 事業所内で安全対策会議(安全に関するQC活動を含む。)を定期的に実施している。
・項目③ 荷主企業、協力会社又は下請会社との安全対策会議を定期的に実施している。
・項目⑤ 外部の研修機関・研修会へ運転者等を派遣している。
・項目⑥ 特定の運転者以外にも適性診断(一般診断)を計画的に受診させている。

厚生年金保険料納付確認に係る特例措置

日本年金機構が、新型コロナウイルス感染症の影響により厚生年金保険料等の納付が困難となった場合の猶予制度を3月19日に設けたことを踏まえて、年金事務所へ猶予の申請を行った事業所については、確認対象の2020年4月分または5月分の厚生年金保険料について、2020年1月分から5月分のうち、いずれか1ヶ月分の厚生年金保険料の納付が確認できる書類の提出が認められます。

★特例措置の詳細は、公益社団法人全日本トラック協会のHPをご覧ください。「別に定める自認書」の様式も、ダウンロードできます。

Gマーク取得のメリット

2020年3月末現在、安全性優良事業所(Gマーク取得)は25,948事業所あり、これは全事業所数の30.2%にあたります。
Gマーク取得事業所は、事故が少ないなど安全性に優れていることから、一般社団法人日本経済団体連合会が策定している「安全運送に関する荷主としての行動指針」(平成15年10月21日策定)においても、 「運送事業者の選定にあたっては、ISO9001基準や安全性優良事業所認定制度などの客観的な基準を積極的に活用する」という項目が盛り込まれており、荷主から大きな信頼が寄せられています。また、 Gマーク取得事業所は、国土交通省等から、さまざまなインセンティブ(特典)が付与されています。
2020年度「貨物自動車運送事業安全性評価事業申請案内」P.3において、安全性優良事業所に係るインセンティブとして、国土交通省は、「通常、3年間で消去される違反点数(※)は、Gマーク認定を受けた営業所については、違反点数付与後2年間、無事故無違反で違反点数の付与のない場合、当該違反点数が消去される(※※) 」としています。他にも国土交通省や全日本トラック協会によるインセンティブが付与されます。
Gマークの取得は事業の安定と発展に大きく寄与すると考えられます。

※文中の違反点数とは、国土交通省による貨物自動車運送事業者対する制度であり、公安委員会によるドライバーに対する違反制度ではありません。※※違反点数の消去に関する照会は、事業者が管轄の運輸支局に直接問い合わせてください。

執筆者情報

記事の作成・編集:MS&ADインターリスク総研

こちらの記事もおすすめです