2021年3月24日、国土交通省より、2020年に発生した事業用自動車の交通事故件数等が公表されました。それによると、事業用自動車の交通事故発生件数は21,871件でした。そこで今回は、2020年に発生した事業用トラックの事故の概要をご紹介します。各事業者における交通事故防止対策にお役立てください。

 

1 交通事故全体と事業用自動車の交通事故件数

2020年中に発生した全体の交通事故(人身事故)は、309,178件(前年比 -121,423件)であり、うち事業用自動車の交通事故件数(事業用自動車が第一当事者である人身事故件数)は21,871件(前年比 -6,013件)となり、どちらも減少しましした。業態別の件数・占有率・前年比は、次のとおりです。

件数占有率前年比
トラック13,500件61.7% -2,106件
乗合バス813件 3.7% -227件
貸切バス95件0.4% -139件
タクシー7,459件34.1% -3,537件

全ての業態で、交通事故発生件数は前年を下回りましたが、トラックの交通事故件数は、事業用自動車の交通事故全体の6割を超えています。

2 交通事故死者数

2020年中の交通事故死者数は2,839人でした。そのうち、事業用自動車の交通事故死者数は、257人(前年比 -76人)でした。
業態別の件数・占有率・前年比は、次のとおりです。

件数占有率前年比
トラック231人89.9% -40人
乗合バス9人 3.5% +3人
貸切バス0人0.0% -9人
タクシー16人6.2% -31人

トラックの死者数が、事業用自動車全体の交通事故死者数の約9割を占めています。

3 飲酒運転事故の発生状況

2020年中の飲酒運転による交通事故は、36件(前年比 -20件)発生しました。業態別の件数・占有率・前年比は、次のとおりです。

件数占有率前年比
トラック36件 100.0% -12件
乗合バス0件 0.0% -0件
貸切バス0件0.0% -0件
タクシー0件0.0% -0件

トラックは前年よりも減少しましたが、事業用自動車の飲酒運転事故は全てトラックによって引き起こされています。

増加傾向にあるトラックの飲酒運転

2020年は前年より減少したものの、近年の状況をみると事業用トラックによる飲酒運転事故件数は増加傾向にあります。飲酒運転は反社会的行為であり、自社が築いてきた社会的信用を著しく失墜させる悪質極まりない行為であり、飲酒運転を行ったドライバーはもちろん、事業者に対しても厳しい処分が行われます。

飲酒運転根絶に向けての取組み

飲酒運転根絶を推進するため、事業者は次のことを実施しておきましょう。

①乗務開始前・乗務終了後の点呼の徹底
②点呼時の目視等及びアルコールチェッカーによる確認の徹底と結果の記録
③飲酒運転の罰則・処分の周知
④飲酒が運転に与える影響の周知
⑤飲酒運転に対する懲戒規定の制定や見直し等の社内処分の強化など

執筆者情報

記事の作成・編集:MS&ADインターリスク総研

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