このほど、2020年(令和2年)に発生した事業用トラックが第1当事者となった死亡事故を分析した「2020年 1~12月の交通事故統計分析結果~発生地別~」(公益社団法人 全日本トラック協会) が公表されました。今回はこの分析結果の概要の中から、死亡事故の主な特徴をご紹介します。

 

死亡事故の主な特徴

○2020年に発生した事業用トラックの死亡事故は、207件で前年より32件減少しました。

○車両区分別では「大型」が121件(58.5%)で最も多く、6割近くを占め、次いで「中型」が50件(24.2%)、「準中型」が31件(15.0%)、「普通」が5件 (2.4%)です(図1)。

○事故類型別では「車両相互」が114件(55.1%)で最も多く、次いで「人対車両」75件(36.2%)、「車両単独」18件(8.7%)です。

○事故類型別の「車両相互」の内容では次のような特徴があります。
・「追突」が40件で車両相互全体の35.1%、3分の1強を占め、次いで「左折時衝突」21件(18.4%)、「出会い頭衝突」19件(16.7%)となっており、「追突」では、「駐・停車中」が24件、「進行中」が16件で、 「駐・停車中」が多くなっています(図2) 。
・車両区分では、「大型」が77件で車両相互全体の67.5%、次いで中型27件、準中型9件、普通1件です。

○交差点における「歩行者・自転車」との死亡事故では、次のような特徴があります。
・事業用トラックが第1当事者となる交差点における対歩行者、対自転車の死亡事故は51件で、追突事故(40件)の1.3倍です。
・直進死亡事故は18件(歩行者12件・自転車6件)、左折死亡事故は19件(歩行者3件・自転車16件)、右折死亡事故は14件(歩行者14件・自転車0件)となっており、左折時は自転車との死亡事故が圧倒的に多く、右折時は全て歩行者との死亡事故となっています。
・直進死亡事故18件のうち、「大型」によるものが10件で半数を超えており、「中型」は3件、「準中型」は5件です。
・左折時における自転車との死亡事故16件のうち、15件は「大型」によるもので9割以上を占めています。
・右折時の歩行者との死亡事故14件のうち7件は「大型」、「中型」は4件、「準中型」は3件です。

死亡事故を防止するために

死亡事故を防止するために、特に次の点をドライバーに指導しましょう。

●追突事故を防止するために、前車との車間距離を十分に確保するとともに、前車の先の状況(交差点の有無や渋滞の有無等)にも目を向けて、前車の動きを予測した運転をする。

●交差点では周囲の状況をよく確認するとともに、右左折時は必ず徐行して横断歩道を通行してくる歩行者や自転車(右折時は特に歩行者、左折時は特に自転車)の有無を確認する。

執筆者情報

記事の作成・編集:MS&ADインターリスク総研

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