令和3年3月30日に公表された「事業用自動車総合安全プラン2025~安全トライアングルの定着と新たな日常における安全確保~」については、本ニュース2021年6月号において、「目標達成のために当面講ずべき施策」の3.1と3.2をご紹介しましたが、今回は同施策の「3.5 原因分析に基づく事故防止対策の立案と関係者の連携による安全体質の強化」の内容をご紹介します。

 

原因分析に基づく事故防止対策の立案と関係者の連携による安全体質の強化の内容

1.各業態の特徴的な事故への対応

施策例

・車籍別、発生地域別、車両区分別、道路区分別等詳細に交通事故実態を分析・把握するとともに、交通事故実態に即した事故防止セミナー等を通じ、交通事故防止の意識の高揚を図る。
・先進安全自動車(ASV)の普及と併せ、車両周辺の安全確認支援装置、アルコールインターロック装置など安全対策機器の導入促進。

2.健康に起因する事故の増加への対応

施策例

・「過労死等防止計画」に基づき、長時間労働対策など8項目の重点対策及び緊急対策である健康診断結果のフォローアップの重要性などの周知を図るため、健康起因事故防止セミナー、定期健康診断の有効活用と睡眠時無呼吸症候群(SAS)対策セミナーを全国展開するとともに、睡眠時無呼吸症候群(SAS)スクリーニング検査助成、血圧計の導入助成を実施。

※「長時間労働対策など8項目の重点対策」は、以下のとおりです。

①時間外労働(残業)時間の段階的な削減
②所定の休日を配置し、計画的な運用
③睡眠時間の確保と規則的な運行
④点呼におけるドライバーの疲労・健康管理の強化
⑤定期健康診断(法定)の完全実施とフォローアップ
⑥「死の三重奏、四重奏」(健診項目のうち、高血圧、肥満、糖尿、脂質異常の3または4項目の基準値を超えるものを指し、過労死等(脳・心臓疾患)発症のリスクが非常に高くなります)を持つハイリスクドライバーへの保健指導及び生活習慣の改善支援
⑦労務・運行管理や疲労・健康管理の継続的な取組の仕組みづくり
⑧過労死等と健康起因事故の両面から防止対策を推進

3.大型車の点検整備の実施の推進

施策例

・車輪脱落事故防止の観点から、時間的余裕を持った計画的なタイヤ交換作業と併せ、国土交通省が作成した「タイヤ交換作業管理表」に沿った適正な作業を周知徹底。
・関係業界団体等と連携し、車輪脱落事故を防ぐ4つのルールなどの啓発活動等を通じ、増し締めの徹底や日常点検の励行などを啓発。
・トレーラ火災の未然防止を図るため、トレーラの適正な使用等に係る研修を実施し、日常点検及び定期点検整備の重要性について啓発。

4.運輸安全マネジメント制度を通じた安全体質の強化

施策例

・運輸安全マネジメント評価制度見直し(最低車両台数の範囲拡大)について周知するとともに、運輸安全マネジメントについて、一層の定着と取組の深度化、高度化を図るため、官民一体で取り組む普及・啓発活動を推進。

5.監査のあり方

施策例

・法令を遵守しない悪質事業者への早期監査を支援するため、巡回指導の総合評価がE評価又はD評価の事業所に重点をおいた巡回指導を実施するとともに、その結果について、運輸支局等に適正化情報処理システムを通じた迅速な情報提供を行う。

6.初任、経験不足運転者等への適切な指導監督

施策例

・トラックの初任運転者等について安全運転の実技等を義務化する等、運転者教育の強化を図るために改正された国の指導及び監督指針(国土交通省告示)を踏まえ、公益社団法人全日本トラック協会作成の「事業用トラックドライバー研修テキスト」を活用した指導教育について、都道府県トラック協会と連携して実効性のある教育体制の整備を図る。

執筆者情報

記事の作成・編集:MS&ADインターリスク総研

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