令和5年9月25日、公益社団法人全日本トラック協会より、事業用トラックの死傷事故(人身事故)の発生状況をまとめた「事業用自動車の交通事故発生状況(令和5年9月)」が発行されました。そこで今回は、この統計結果のなかから、主な死傷事故の特徴をご紹介します。

トラック死傷事故の主な特徴

◆車種別では大型車による事故が半数近くを占める

令和4年に発生した事業用トラックの死傷事故は、9,371件で前年(9,415件)より、44件減少しました。車種別では、大型車が4,164件(44.4%)で全体の半数近くを占めており、ついで中型車が2,508件(26.8%)、準中型車が2,186件(23.3%)、普通車が513件(5.5%)となっています(図1)。

図1 車種別の死傷事故件数(令和4年)

◆事故類型別では追突事故が半数近くを占める

事故類型別では、追突が4,376件(46.7%)で最も多く、全体の半数近くを占め、ついで出会い頭衝突が825件(8.8%)、対歩行者事故が670件(7.1%)、左折時衝突が595件(6.3%)、右折時衝突が471件(5.0%)となっています(図2)。

図2 主な事故類型別の死傷事故件数(令和4年)

◆1日のうち、8~13時に発生した事故が半数近くを占める

死傷事故を時間帯別でみると、8~9時が1,633件(17.4%)、10~11時が1,537件(16.4%)、12~13時が1,225件(13.1%)となっており、8~13時で全体の46.9%と半数近くを占め、深夜や早朝に向か うほど減少していく特徴がみられます。トラック事故というと、深夜や早朝に多いという印象をもたれることがありますが、実際には、昼間の時間帯が多くなっています(図3)。

図3 時間帯別の死傷事故件数(令和4年)

◆追突事故を防ぐために

トラックは運転席が高く路面がよく見えるため、前車との車間距離を詰める傾向が見られます。また、前方もよく見えるため、直前の車よりもその先の車に視線が向いて、直前の車の動きに気づくのが遅れることがあります。こうしたトラックの特性が追突事故が発生しやすい要因の一つとなっていますので、意識して車間距離をとる、 直前の車の動きに絶えず注意を向けることなどをドライバーに指導しましょう。

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記事の作成・編集:MS&ADインターリスク総研株式会社

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