令和6年4月1日に施行される改正改善基準告示における「連続運転時間」は、従来とは異なる点がみられます。
そこで今回は、厚生労働省が公表している「改善基準告示(令和6年4月1日適用)に関するQ&A」に基づき、連続運転時間の主な事項についてご紹介します。

(令和6年4月1日以降)改善基準告示の連続運転時間

Q:連続運転時間は原則4時間以内ですが、例外となる「やむを得ず4時間を超える場合」を具体的に教えてください。

A:「やむを得ず4時間を超える場合」とは、次のような状況をいいます。
・サービスエリア、パーキングエリアのほかコンビニエンスストア、ガスステーション、道の駅などが満車である場合
・満車ではないが、車種に応じた駐車スペースが満車である 場合上記施設は、高速道路だけでなく、一般道路などに併設されているものも対象となります。

注意!
★延長できるのは、その連続運転時間につき1回限りです。
★サービスエリアが常態的に混雑していることを知りながら、連続運転時間が4時間となるような運行計画をあらかじめ作成することは認められません。


Q:運転の中断については、おおむね連続10分以上、合計30分以上が必要ですが、この場合の「おおむね」とは?

A:従来は、連続10分に満たない運転の中断については認められませんでしたが、改正により「おおむね連続10分以上」とされることによって、9分でも認められることになります。 したがって、運転の中断が、9分、10分、11分で合計30分、あるいは9分、9分、12分で合計30分の場合も認められます。

注意!
★10分未満の運転の中断が3回連続することは認めらません。 たとえば、9分、9分、9分、3分という場合、2回目までの9分は「おおむね連続10分以上の運転の中断」が認められますが、3回目の「9分」は運転の中断とは認められません。 また、「3分」 は「おおむね連続10分以上」とはかけ離れているため認められません。
★下記のような場合は、あくまで走行中に一時的に停車している状態に過ぎず、すぐに車両を動かさなければならない状態のため、運転の中断には該当せず、連続運転時間となります。

・渋滞中にアイドリングストップでエンジンが停止した場合
・サービスエリアなどの駐車の順番待ちのため、走行、停車を繰り返し、少しずつ前に進む場合


Q:「運転の中断」は「原則として休憩」とされていますが、「運転の中断」時に、荷積みや荷卸し等の休憩以外の行為を行った場合は?

A:「運転の中断」については、トラック運転者が運転の中断時に荷積み・荷卸し等の作業に従事することにより、十分な休憩が確保されない実態があるといったことを踏まえ、運転の中断時には「原則として休憩」を与えるものとされました。したがって、運転の中断時に休憩を与えることができない実態にある場合には、運行計画を見直すこと等により、適切に休憩を与えるようにすることが使用者には要請されますが、業務の実態等を踏まえ、短期的には見直しが難しい等の特段の事情がある場合には、運転の中断時に必ず休憩を与えなければならないものではなく、例えば、荷積み・荷卸しや荷待ちを行ったとしても、改善基準告示違反となるものではありません。


Q:宅配等小口集配業務に従事する自動車運転者についても、連続運転時間の規制を受けますか?

A:新告示においては、運転の中断時に「原則として休憩」を与えることとされています。特に近・中距離の自動車運転者について運転の中断時に休憩が確保されない実態があることを踏まえたものです。特定の自動車運転者について連続運転時間の規制を適用除外する規定は設けられていないことから、宅配等小口集配業務に従事する自動車運転者についても連続運転時間の規制は適用されます。


改善基準告示違反は行政処分の対象

連続運転時間だけでなく、改善基準告示の違反があった場合、各事項の未遵守状況に応じて、初違反であっても一定期間の車両使用停止や事業停止などの行政処分を受けることがあり、処分内容が公表されます。事業者の皆様は改正改善基準告示の内容を正しく理解し、遵守することが求められます。

執筆者情報

記事の作成・編集:MS&ADインターリスク総研株式会社

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