令和4年12月23日に改正された「貨物自動車運送事業に従事する自動車運転者の労働時間等の改善のための基準」(以下、改善基準告示といいます。)が、令和6年4月1日に施行されます。改正改善基準告示は、全ての貨物自動車運送事業者が対象となり、日常の運行管理等の大規模な見直しが必要となります。そこで今回は改正改善基準告示のなかから、拘束時間と休息期間の内容についてご紹介します。

拘束時間と休息期間の内容

1.拘束時間

(1) 1年・1か月の拘束時間

○1年の総拘束時間は3,300時間、かつ、1か月の拘束時間は284時間を超えないものとします。
・労使協定により、1年のうち6か月までは、1年の総拘束時間が、3,400時間を超えない範囲内において、1か月の拘束時間を310時間まで延長することができます。
・1か月の拘束時間が284時間を超える月は連続3か月までにしなければなりません。
・1か月の時間外労働及び休日労働の合計時間数は、100時間未満となるよう努める必要があります。
※「1か月」とは、原則として暦月をいいますが、就業規則、勤務割表等において特定日を起算日と定めている場合は、当該特定日から起算した1か月でも差し支えありません。

【留意点】
1か月の拘束時間をすべて上限値(284時間×12か月)とすると、1年間の総拘束時間は3,304時間となり、3,300時間を超えるため改善基準告示違反となります

(2) 1日の拘束時間

○1日(始業時刻から起算して24時間をいう。)の拘束時間は13時間以内とし、延長する場合であっても、上限は15時間です。
・宿泊を伴う長距離貨物運送の場合、1週について2回に限り、1日の拘束時間を16時間まで延長することができます。
※「宿泊を伴う長距離貨物運送」とは、1週間における運行が全て長距離貨物運送で、一の運行における休息期間が住所地以外の場所におけるものである場合をいいます。
※「長距離貨物運送」とは、一の運行の走行距離が450km以上の貨物運送をいいます。
※「一の運行」とは、自動車運転者が所属する事業場を出発してから当該事業場に帰着するまでをいいます。
○1日の拘束時間について13時間を超えて延長する場合は、14時間を超える回数をできるだけ少なくするよう努める必要があります。
※回数は1週間について2回までが目安です。この場合において、14時間を超える日が連続することは望ましくありません。

【留意点】
拘束時間における「1日」は、「始業時刻から起算して24時間」ですから、例えば、月曜日の始業時刻と翌日の火曜日の始業時刻が異なっている場合は、拘束時間の計算に当たって注意が必要です。

上図は、ある運転者の勤務状況を示したものです。月曜日は8:00が

始業時刻で、火曜日は6:00が始業時刻となっています。1日の拘束時間は、「始業時刻から起算して24時間」ですから、月曜日の拘束時間13時間に加えて、火曜日の6:00~8:00の2時間分も含まれます。
したがって、この運転者の月曜日の始業時刻8:00から始まる1日の拘束時間は、13時間ではなく、15時間となります。
なお、火曜日の拘束時間については、始業時刻の6:00から起算して、水曜日の6:00までとなりますので、13時間ということになります。月曜日の拘束時間に加算された2時間が火曜日の拘束時間から除外されるわけではありませんので、その点に留意してください。

2.1日の休息期間

○1日の休息期間は、勤務終了後、継続11時間以上与えるよう努めることを基本とし、継続9時間を下回ってはなりません。

・宿泊を伴う長距離貨物運送の場合、1週について2回に限り、継続8時間以上とすることができます。
・休息期間のいずれかが継続9時間を下回る場合は、一の運行終了後、継続12時間以上の休息期間を与えなければなりません。

【留意点】
拘束時間における「1日」は、「始業時刻から起算して24時間」ですから、例えば、月曜日の始業時刻と翌日の火曜日の始業時刻が異なっている場合は、拘束時間の計算に当たって注意が必要です。

図2  陸上貨物運送事業における事故の型別死傷者数(2022年)

執筆者情報

記事の作成・編集:MS&ADインターリスク総研株式会社

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