令和5年3月31日に、国土交通省より「対面による点呼と同等の効果を有するものとして国土交通大臣が定める方法を定める告示 」が出されました。これにより、国土交通省が定める要件を備えた機器やシステムを導入することにより、対面以外での点呼(「遠隔点呼」と「業務後自動点呼」)が、令和5年4月1日から実施可能となりました。そこで今回は、新たに導入された「遠隔点呼」についてご紹介します。

「遠隔点呼」の概要

◆遠隔点呼とは

事業者が、国土交通省が定める要件を備えた機器を用いて、遠隔の営業所又は車庫にいる運転者等に対して行う点呼をいい、対面での点呼と同等の扱いとなります。また、Gマークの認定を受けていない営業所でも実施できます。

◆遠隔点呼の実施が可能な範囲

遠隔点呼は、下図に掲げる二地点間において実施することができます。

◆遠隔点呼に使用する機器等の要件

遠隔点呼に使用する機器等については、カメラ・モニター等により、運転者の顔の表情、酒気帯びの有無等が確認できることや個人を確実に識別できる生体認証機能を有することなど、さまざまな要件が定められています。

◆遠隔点呼を実施する場所の要件

遠隔点呼はどの場所でも実施できるというものではなく、施設・環境要件が定められ、主なものをあげてみると、下記のようになります。
・遠隔点呼を行う運行管理者等が、運転者の顔の表情、酒気帯びの有無等により安全な運転ができないおそれの有無を、映像と音声の送受信により通話することができる方法によって、随時明瞭に確認できる環境照度が確保されていること。
・なりすまし、アルコール検知器の不正使用、所定の場所以外での遠隔点呼の実施を防止するため、実施場所の天井等に監視カメラを備え、運行管理者等が、遠隔点呼を受ける運転者等の全身を随時、明瞭に確認することができること。

◆遠隔点呼とIT点呼との違い

遠隔点呼は、国土交通省が定める要件を備えた機器を用いるなど、一定の条件を満たせば、どの事業者でも実施できますが、 IT点呼は、一部の例外を除き、「Gマーク営業所」に限定されています。
IT点呼が認められる範囲についても、遠隔点呼よりは狭く、下記の4つに限定されています。
①24時間実施可能
・営業所とその車庫間
・営業所の車庫と当該営業所の他の車庫間
②連続16時間まで
・営業所と他の営業所間
・営業所と他の営業所の車庫間

※遠隔点呼の詳細については、国土交通省のホームページに掲示されている「対面による点呼と同等の効果を有するものとして国土交通大臣が定める方法を定める告示」をご覧ください。

執筆者情報

記事の作成・編集:MS&ADインターリスク総研株式会社

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