令和5年3月2日、警察庁より、令和4年に発生した交通事故(人身事故)の発生状況をとりまとめた「令和4年中の交通事故の発生状況」 、および死亡事故の発生状況等をとりまとめた「令和4年中の交通死亡事故の発生状況及び道路交通法違反取締り状況等について」が公表されました。今回は、この公表データのなかから、事業用貨物自動車(以下、事業用トラックと言います。)が第1当事者となった交通事故の発生状況についてご紹介します。

令和4年中の交通事故発生状況の概要

令和4年中の交通事故の発生状況は、次のとおりです。
【交通事故発生件数】
 ○全体: 300,839件(前年比-4,357件 -1.4%)
 ○事業用トラック:14,382件(前年比 +351件 +2.5%) ※軽貨物含む。以下同じ 
【死亡事故発生件数】
 ○全体: 2,550件(前年比 -33件 -1.3%)
 ○事業用トラック: 196件(前年比 -25件 -11.3%)
【高速道路の交通事故発生件数】
 ○全体: 5,655件(前年比 +792件 +16.3%)
 ○事業用トラック: 1,099件(前年比 +136件 +14.1%)
【高速道路の死亡事故発生件数】
 ○全体: 135件(前年比 +6件 +4.7%)
 ○事業用トラック: 35件(前年比 -5件 -12.5%)

増加傾向にある事業用トラックの交通事故

図1は全体と事業用トラックの過去8年間の交通事故発生件数の推移を示したもので、図2は死亡事故の発生件数の推移を示したものです。
 死亡事故については、全体、事業用トラックともに減少傾向を示していますが、交通事故については全体では減少傾向にあるものの、事業用トラックについては、ここ数年増加傾向を示しています。このままでは、国土交通省が策定した「事業用自動車総合安全プラン2025」における事業用トラックの目標の一つである「令和7年までに交通事故(人身事故)を9,100件以下」の達成が危ぶまれます。
 交通事故の増加に歯止めをかけ、減少に転じさせるために、事業者には特に次のことが求められます。

○点呼の確実な実施等の日常の運行管理の徹底
○令和6年4月から適用される「自動車運転者の労働時間等の改善のための基準」を遵守するための環境作り
○「貨物自動車運送事業者が事業用自動車の運転者に対して行う指導及び監督の指針」の実施マニュアルに基づく運転者教育の実施

執筆者情報

記事の作成・編集:MS&ADインターリスク総研株式会社

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