2018年(平成30年)に成立した「働き方改革関連法」を受けて見直しが進められてきた「貨物自動車運送事業に従事する自動車運転者の労働時間等の改善のための基準」(以下、改善基準告示といいます。)について、2022年(令和4年)9月27日、厚生労働省より、見直しの結果をとりまとめた「貨物自動車運送事業に従事する自動車運転者の労働時間等の改善のための基準の在り方について(報告)」が公表されました。これを受けて今後改善基準告示の改正が行われ、2024年(令和6年)4月の施行が予定されています。今回と次回で、改善告示の見直しの内容についてご紹介します。

改善基準告示見直しの内容

①1年、1か月の拘束時間

◆現行

・1か月の拘束時間が293時間を超えないものとする。
・ただし、労使協定により、年間6か月までは、年間の総拘束時間が3,516時間を超えない範囲内において、1か月の拘束時間を320時間まで延長することができる。

◆見直し

・年間の総拘束時間が3,300時間、かつ、1か月の拘束時間が284時間を超えないものとする。
・ただし、労使協定により、年間6か月までは、年間の総拘束時間が3,400時間を超えない範囲内において、1か月の拘束時間を310時間まで延長することができる。この場合において、1か月の拘束時間が284時間を超える月が3か月を超えて連続しないものとし、1か月の時間外・休日労働時間数が100時間未満となるよう努める。

②1日の拘束時間

◆現行

・1日についての拘束時間は、13時間を超えないものとし、当該拘束時間を延長する場合であっても、最大拘束時間は16時間とする。この場合において、1日についての拘束時間が15時間を超える回数は1週間について2回以内とする。

◆見直し

・1日についての拘束時間は、13時間を超えないものとし、当該拘束時間を延長する場合であっても、最大拘束時間は15時間とする。
・ただし、自動車運転者の1週間における運行がすべて長距離貨物運送(一の運行(自動車運転者が所属する事業場を出発してから当該事業場に帰着するまでをいう。)の走行距離が450㎞以上の貨物運送をいう。)であり、かつ、一の運行における休息期間が住所地以外の場所におけるものである場合、当該1週間について2回に限り最大拘束時間を16時間とすることができる。
・最大拘束時間まで延長する場合であっても、1日についての拘束時間が14時間を超える回数(※)をできるだけ少なくするよう努める。
(※)通達において、「1週間について2回以内」を目安として示すこととする。

③1日の休息期間

◆現行

・休息期間は、勤務終了後、継続8時間以上与える。

◆見直し

・休息期間は、勤務終了後、継続8時間以上与える。
・休息期間は、勤務終了後、継続11時間以上与えるよう努めることを基本とし、継続9時間を下回らないものとする。
・ただし、自動車運転者の1週間における運行がすべて長距離貨物運送であり、かつ、一の運行における休息期間が住所地以外の場所におけるものである場合、当該1週間について2回に限り、継続8時間以上とすることができる。この場合において、一の運行終了後、継続12時間以上の休息期間を与えるものとする。

④運転時間、連続運転時間

◆現行

・運転時間は、2日を平均し1日当たり9時間、2週間を平均し1週間当たり44時間を超えないものとする。
・連続運転時間(1回が連続10分以上で、かつ、合計が30分以上の運転の中断をすることなく連続して運転する時間をいう。)は、4時間を超えないものとする。

◆見直し

・運転時間は、2日を平均し1日当たり9時間、2週間を平均し1週間当たり44時間を超えないものとする。
・連続運転時間(1回が概ね連続10分以上(※)で、かつ、合計が30分以上の運転の中断をすることなく連続して運転する時間をいう。)は、4時間を超えないものとする。当該運転の中断は、原則休憩とする。
(※)通達において、「概ね連続10分以上」とは、例えば、10分未満の運転の中断が3回以上連続しないこと等を示すこととする。
 ただし、サービスエリア、パーキングエリア等に駐車又は停車できないことにより、やむを得ず連続運転時間が4時間を超える場合には、30分まで延長することができるものとする。


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記事の作成・編集:MS&ADインターリスク総研株式会社

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