ある会社の事例

今年も年末調整の時期が近づいてきました。所得税の国外居住親族要件が変更になると耳にしました。
具体的な内容と注意点を教えてください。

国外居住親族要件は来年(令和5年)1月から変更されます。変更後は、国外居住親族である扶養親族のうち30歳以上70歳未満のものは一部例外を除いて扶養控除対象者として取り扱うことができなくなります。

国外居住親族とは

国外居住親族とは、非居住者(国内に住所を有せず、かつ、現在まで引き続いて1年以上国内に居所を有しないもの)である親族をさします。 そのうち本改正では、所得税の配偶者を除く扶養控除対象者(以下、扶養親族)が対象となります。
 これまで国外居住親族であっても、親族関係書類等を提出すれば国内に居住する扶養親族と同じ要件で扶養控除の適用対象者であるか判断しておりましたが、国外居住親族については追加で要件が加えられ、扶養親族の範囲が限定されました。

●改正後の国外居住親族、扶養控除対象の範囲

法改正により、30歳以上70歳未満の国外居住親族は原則扶養親族とはみなされないことになりました。 
ただし、次の3つの条件いずれかに該当する場合には、30歳以上70歳未満であっても引き続き扶養親族とすることができます。
【条件】
1.留学により国内に住所を有しないもの
2.障害者
3.年間38万円以上居住者から送金をうけているもの

●年末調整時の提出書類

国外居住親族を扶養親族としたい労働者は年末調整時に次の資料を提出する必要があります。資料の提出がない場合、条件を満たしていても扶養親族して取り扱うことはできません。
【必要書類】
親族関係確認書類
送金関係書類(※1)
留学証明書類(※2)
(※1)30歳以上かつ70歳未満で上記の条件3に該当する扶養親族の場合には、送金額が38万円以上であることが確認できる資料であること
(※2)30歳以上かつ70歳未満で上記の条件1に該当する場合のみ提出が必要

執筆者情報

資料作成:社会保険労務士法人アーク&パートナーズ

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