◆今年も酷暑が続いていますが・・・
今年も酷暑が続いていますが、施設のみなさんが策定した災害対策BCPには、酷暑期の停電災害対策が含まれているでしょうか?東日本大震災では、停電発生から3日で約80%が解消されましたが、停電から解消までに3カ月以上かかった地域もありました。また、2018年北海道胆振東部地震では、北海道全域で停電が発生し、復旧に3日間を要しました。その後千葉県の台風被害でも、64万戸で停電が発生し、復旧まで2週間かかったところもあり、災害関連死12人のうち8人は、熱中症など停電の影響で亡くなったとされています。このように、災害が発端で酷暑期に停電が発生すると、エアコンがダウンすることで熱中症で命を落とす「停電災害」につながります。
2003年8月にフランスで発生した熱波では、35度以上の日が8日連続で観測され、75歳以上の高齢者を中心に14,800人以上が熱中症で死亡しています。未だにエアコン普及率25%のフランスでは、今年も熱波が記録され被害の拡大が懸念されています。今年は北海道で40度近い気温になるなど酷暑が加速していますが、この時期に災害で停電が発生し、エアコンが使えなくなったら施設の入所者の命をどのように守ったら良いのでしょうか?
エアコンなしで入所者を熱中症から守る方法は?
◆酷暑期の施設の停電災害対策
酷暑期の施設の停電対策では、自家用発電機の設置が前提となります。自家用発電機を使って厨房の冷凍冷蔵庫を動かし、災害備蓄用の飲料水で冷水と氷を作ることができれば、利用者への熱中症対策が可能になります。自前での冷水と氷の量に限界がある場合は、外部からの調達を検討します。病院は法令で非常用電源の確保が義務付けられていますので、停電しても通常電力がある程度確保ができると思われます。提携病院などに非常時の冷水と氷の提供をお願いしておくと良いで しょう。扇風機もたくさん確保しておけば、自家用発電機で動かすことが可能です。 暑さ対策だけでなく、痰の吸引など医療行為にも自家発電は必須です。

◆利用者への熱中症対策
停電の復旧は長くても3日間程度ですが、職員総出で対応しなければなりません(家族に協力をお願いしても良い)。まず風通しの良い部屋や居室があれば窓を開けて室温がどれくらいになるかを測りましょう。室温が28度以下であれば、涼しい服装でこれらの場所で過ごしていただくようにします。扇風機を使って空気の流れを作ることも効果的です。
次に冷えた経口補水液などの飲料を飲んでもらい、塩分補給と脱水に対応します。経口補水液は糖と塩が多く含まれますので、水替わりの過度の摂取は止めてください。深部体温を下げるには、手足を冷やすことが効果的ですので、「冷たいペットボトルを握ってもらう」「手足を洗面器に浸ける」などが簡単で効果的です。定期的に深部体温を測定して(口腔内や腋下の奥で計る)チェックすることも重要です。
◆自家用発電機の設置上の注意
自家発電機は5KW程度の小型のものでも、冷凍冷蔵庫を稼働させることが可能ですが、製品によって異なりますので、メーカーに確認が必要です。また、10KW以上の発電機を施設で管理しようとすると、有資格者の届け出などが必要になりますので、管理を外部委託したり、リースにするなど検討してください。太陽光発電を利用した蓄電システムには、自治体の補助金がありますので、相談してみると良いと思います。コンセントの型も忘れずに確認ください。
【参考】「停電時に備えた社会福祉施設等の対応について」➡http://anzennakaigo.sakura.ne.jp/aioi/04.pdf
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