高齢者は重症化リスクが高いと言われるが…

新型コロナウイルス感染症の拡大に伴い、重篤化リスクの高い入所者を抱える高齢者施設では、入所者の感染防止対策が緊急課題となっています。しかし、入所施設の感染防止対策には限界があり、千葉県の福祉施設では職員の感染から入所者の約7割が感染するという事態となり、入所施設での感染力に驚かされました。

このような状況下においては、施設の感染防止の取組も重要ですが、感染発生時の重篤化の防止対策も必須の取組となります。高齢者施設は全ての入所者に重篤化リスクがあるのはもちろんですが、年齢や基礎疾患の種類によって、更にリスクの高い入所者がいることも事実です。また、寝たきりや胃ろうといった生活状態によっても異なるでしょう。そこで、個々の入所者の重篤化リスクを明確化した上で、ハイリスク者に重点的に対応するために、「感染時重篤化予測指標」を策定しました。施設の新型コロナウイルス感染症対策にお役立てください。

どの利用者が重篤化リスクが高いのか

80歳以上がハイリスク

まず、年齢によって重篤化するリスクはどれくらい違うのでしょうか?患者の年齢別の致死率は、全年齢平均に比べ70歳代が5倍、80歳代が9倍、90歳代は10倍です。80歳以上が特に重篤化リスクが高くなるのです。また、基礎疾患による致死率は、基礎疾患が無い患者に比べ「心血管疾患」は12倍というように、大きな差があります。このように、年齢によっても基礎疾患によっても、重篤化リスクには大きな差があるので、超ハイリスク者については、特別な対応が必要となるでしょう。

感染発生時のハイリスク者への対応策は?

ある特別養護老人ホームでは、ハイリスク者に対して次のような対策を取ることにしました。

執筆者情報

監修 株式会社安全な介護 山田 滋 

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