はじめに

新入園・新入学・進級・・・春は子どもにとっても新しい場所や人・出来事・時間の流れに「出会う」季節です。大人も動揺しながら、必死に情報を集めながら、適応しようと頑張り、疲れてしまう季節でもあります。わけもわからず、目まぐるしく変わる環境にさらされる子どもは、大人よりもずっと大変で、ちょっと怖い思いをしていることもあるかもしれません。そんなときに現れる「(保育園・幼稚園・学校に)行きたくない…」の訴え。そんなとき大人はどう対応してあげるとよいのでしょう?

どうしたら「行ってくれる」?ではなく、まず「行きたくない」のはどうしてだろう?を考える。

子どもに「行きたくない」と言われると「どうやって行かせよう」と考えてしまうものです。そんなときは子どもがどうして行きたくないのか・・・どういう場所なら喜んでいくのか?どういう人となら安心して過ごせるのか?その子が普段、安心している環境にはどんな特徴があるだろう?と探ってみるところから始めてみましょう。 「行かせる方法」ではなく「行きたくなる方法」を探ることが、子どもの想いに寄り添いながら、子ども自身が主体的に、新しい環境に挑戦する旅支度につながります。

<「行きたくない」ときの対処法は?>
 ・「行きたくない」理由を考え、「行きたくなる方法」を探る
 ・「休む選択肢」があることを教えてあげ、不安を軽減させてあげる
 ・頑張れる方法をみつけ、個々のペースをつかんであげる

「休んでも大丈夫」と思える心のゆとりを持たせる声掛けを。

「今日は行きたくないなぁ」「ちょっとしんどいなぁ」という気持ちは大人でも感じることがある当たり前の感情です。まだまだ感情や気持ちの表現が未成熟な子どもはそんなちょっともやもやした気持ちを持っている語彙のなかから精一杯表現してくれています。「理由や原因があるわけではない・・、どうしたらいいかわからない・・だけどなんだか休みたい」そんな思いを伝えてくれたときには「休む選択もあること」を教えてあげてほしいです。
 「理由もないのに?」「休み癖がつくのでは?」と頑張り慣れた大人たちはつい考えてしまいますが、子どもには、理由を表現するほどの語彙力がないかもしれません。もやもやする気持ちをどう表現したらよいのかわからないだけかもしれません。 そのような時期に、つらいと感じていても「頑張る」という選択しかないと思い込んでしまっては、「頑張り癖」がついてしまい、つらいとき休もうとする自分を責めてしまう場合もあります。そうなると、学校や園は途端に「行きたい場所」から「行かなければならない場所」に変わってしまいます。環境の変化に対応しながら、楽しく通う方法を探っている新年度は誰でも息切れしてしまうもの。小休止を意識しながら、少しずつ不安を軽減し、個々のペースで頑張れる方法を見つけられるようペースメイクしてあげてほしいと思います。

学校は「行かなきゃいけない場所」じゃない!「休んでも大丈夫」というゆとりがあるから「楽しく通う練習」ができる!



執筆者

株式会社東京リハビリテーションサービス 堀川 由樹子 (言語聴覚士)

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