アレルギーとは、身体の中の免疫が、外から入ってきた特定の異物(アレルゲン)に対して過剰に反応し様々な症状を引き起こした状態です。アレルギーを持つお子様は年々増加しており、文部科学省の調査結果では小中高校生の20人に1人がアレルギーを抱えているとの報告もあります。アレルギー疾患にはアレルギー性鼻炎、アレルギー性結膜炎、気管支喘息、アトピー性皮膚炎などがあります。

アレルギー疾患の例

アレルギー性鼻炎鼻の粘膜が刺激されて、鼻のかゆみや鼻水などの症状が現れた状態のことをいいます。子どもは風邪を引きやすくて鼻水が出ている期間が長いので鑑別が必要です。
アレルギー性結膜炎目の充血や目のかゆみ・目ヤニが出る病気です。重症アトピー性皮膚炎を合併していない時は思春期以降に軽快することがほとんどですが、合併している場合は難治化することもあります。
気管支喘息息をする時に空気の通り道である気管支が狭くなり、空気が通りにくくなった状態です。
子どもでは、風邪による咳か、喘息の症状なのかわかりにくい場合が多いので、風邪を引いていない時でもゼーゼーが持続したり、ある一定の物質に接触すると症状が悪化する、などがある場合は喘息を疑います。
アトピー性皮膚炎かゆみを伴う湿疹が、良くなったり悪くなったりを慢性的に繰り返す状態になります。1歳までは2ヵ月以上、1歳以上では半年以上その状態が続くと慢性と判断されます。アトピー性皮膚炎の湿疹は、皮膚のバリア機能が低下して外部刺激が皮膚内部まで入り込むことで、免疫の過剰反応が起こって発症していると考えられます。
食物アレルギー特定の食べ物に反応して、皮膚症状(湿疹・蕁麻疹など)、呼吸器症状(咳・息が苦しいなど)、胃腸症状(下痢・嘔吐など)、循環症状(意識喪失・血圧低下など)などを起こします。
食物アレルギーの症状は多岐に渡りますが、全身に複数の重い症状が現れた場合を
アナフィラキシーといいます。症状が急速に進行することがあり、命にかかわる
危険な状態なので救急車を呼ぶ必要があります。

アレルギーの診断

・血液検査だけではアレルギーの診断は出来ず、「症状」から診断されます。血液検査(IgE抗体)結果の数値が高くても、 アレルギー症状が出ないことがあります。逆に、低くてもアレルギーを起こす場合があります。
・血液によるアレルギー検査には100種類以上の項目があります。症状や状況からアレルギーの原因と思われる物質を見極め、的を絞って検査を行います。
・アレルギーの診断には、「いつ、どのような状況で、どのような症状が出たのか」ということが重要なポイントとなります。

ワンポイントアドバイス 【食物アレルギーがあるかもしれないお子様への離乳食の進め方】

離乳食を開始する際、まだ食べたことのないものばかりです。その中から食べさせる物を全て血液検査するのは難しいため、離乳食の開始にあたっては、まず米(おかゆ)をひとさじから与えて、慣れてきたら、野菜やイモ類、大豆、魚という順番で与えていくのが標準的な進め方です。加熱・加工された物をひとさじから始め、様子を見ながら増量していくと良いでしょう。
食物アレルギーの症状が出やすい食べ物は、卵、小麦、牛乳、大豆になります。これらは、何かあった時に直ぐに医師に相談出来る、平日の日中に開始するのが良いでしょう。
症状が出ていないのにも関わらず血液検査を実施し、その結果を見て離乳食の食品に制限をかけ偏った栄養摂取となっている、ということにならないよう注意しましょう。

アレルギーの診断を正しく行うには、日々お子様を観察することが重要です

執筆者

株式会社東京リハビリテーションサービス  澤村 清美 (看護師) 

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