地方創生テレワーク型は、「転職なき移住」を実現し、地方への新たな人の流れを創出するため、サテライトオフィスの整備・利用促進等に取り組む地方公共団体を支援することを目的としています。そのため、首都圏一極集中の是正を目指してきた安倍政権の頃から同様の交付金として存在していました。

この交付金の特徴は、地域に企業を呼び込む手段として、『自治体運営の施設』だけではなく、『民間運営の施設』も支援対象として、施設整備や運営、利活用に使えることです。新設でも既存施設でも対象です。

自治体運営の施設を具体例は、旧庁舎、公民館、廃校、駅舎、道の駅等で、民間運営の施設の具体例としては、空き店舗、古民家、ホテル・旅館の一部、港の倉庫等が挙げられています。

ハード面とソフト面を一体的に扱うことから、テレワークにより働く環境又は機能を有する上で必要と認められる設備導入である電気設備(エアコン、コンセント増設)、給湯設備、トイレの改修、机、イス、パソコン、タブレットPC、OA機器などから、通信環境整備(インターネット、Wi-Fi環境)、施設運営・管理委託(人件費・光熱水費・通信料・賃借料)等まで幅広く認められます。

地域交流スペースやカフェ、居住・滞在スペース等、テレワークにより働く環境又は機能そのものではないが、サテライトオフィス等の利用促進に繋がる附帯施設・設備の整備等についても、上限の設定はありますが施設の利用促進機能整備に係る経費として認められています。

施設整備・運営事業費 最大9,000万円/施設
利活用促進事業費 最大1,200万円/団体

地域交流スペースやカフェ、居住・滞在スペース等、サテライトオフィス等の利用促進につながる附帯施設・設備:5割未満

用地取得費・造成費、外構工事費、既存施設の除却・解体費、整備対象施設の取得費:2割以内

利活用促進事業費とは、動画、チラシ、ポスター、ホームページの製作委託費等のプロモーション、ビジネスマッチング・セミナー開催、サテライトオフィスの説明会開催、テレワーク関連設備導入(パソコン、テレビ会議システム、通信環境整備)、オンライン会議用ブース導入等幅広く使えます。

サテライトオフィスの整備支援だけではなく、企業の進出支援として進出支援金を各社に出したり、進出企業の定着や進出先の地元企業との連携事業も支援したりと、とても手厚い交付金になっています。

進出支援金は、社員の引っ越し費用、社員の旅費・滞在費用、研修費用等が対象で、3年以上5年以内に、施設利用を終了した時は半額、3年未満に施設利用を終了した場合全額を返還しなくてはなりません。

進出支援金 最大100万円/社
進出企業と地元企業の連携事業費 最大3,000万円/事業

この事業においても、マイナンバーカードについて、「申請率が2022年11月末の全国平均(53.9%)を上回る場合は加点する」とされています。平均以上60%未満が加点1、60%以上70%未満が加点2、70%以上が加点3になります。

申請タイプは、高水準タイプ(補助率が3/4)と標準タイプ(補助率1/2)の2種類があります。

高水準タイプは以下の3つの条件で有識者が審査をします。

①2026年度末のサテライトオフィス等施設を利用する企業数を設定のうえ、そのうち、所在都道府県外の企業が3社以上
②2026年度中のサテライトオフィス等施設の利用者数を設定のうえ、そのうち、所在都道府県外の利用者数の割合が5割以上
③事業開始から2026年度末までの移住者数がサテライトオフィス等施設の所在する市町村の人口の0.01%以上

標準タイプは、以下の3つの条件で事務局が審査します。

①2026年度末のサテライトオフィス等施設を利用する企業数を設定のうえ、そのうち、所在都道府県外の企業が1社以上
②2026年度中サテライトオフィスの等施設の利用者数を設定のうえ、そのうち、所在都道府県外の利用者数の割合が3割以上
③事業開始から2026年度末までの移住者数を設定

出典:令和4年12月12日 デジタル田園都市国家構想交付金 デジタル実装タイプ地方創生テレワーク型 募集開始にあたる制度概要説明会資料より抜粋

こちらの交付金は、他と比べると違った難易度があり、それは「施設」が関係することです。申請には対象となる「施設」が存在し、人の流れを創出する核として「施設」が存在し、「施設」を媒介として、進出企業などの支援をしています。「施設」の計画や図面といったテクニカルな面と一度作ってしまうと「施設」は残ってしまうため、よく考えて取り組む必要がありそうです。

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執筆者情報

著者 株式会社カルティブ 代表取締役 池田 清

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