運行管理業務を効率化して運行管理者と運転者の負担軽減を図るため、同一事業者内において、一の営業所の運行管理者から他の営業所の運転者に対する運行指示等をはじめとした運行管理業務の一元化に関する実施要領(以下、「実施要領」といいます。)が公表されました。この実施要領は、令和6年4月1日より実施されています。
今回は、実施要領の概要をご紹介します。

◆実施要領の概要

1.運行管理業務の一元化とは

自動車運送事業者(以下、「事業者」といいます。)が、実施要領で定める要件を満たし、同一事業者内において、運行管理業務を集約する営業所(以下、「集約営業所」といいます。)の運行管理者が運行管理業務の集約を委託する営業所(以下、被集約営業所といいます。)の業務のうち、貨物自動車運送事業輸送安全規則第20条に規定する運行管理者の業務を行うことをいいます。

2.運行管理業務の一元化の実施方法

(1)運行管理業務の一元化は、運行管理業務の一元化を行おうとする事業者が、集約営業所及び被集約営業所を管轄する運輸支局長、運輸監理部長又は陸運事務所長に事前の届出を行うことにより実施することができます。
(2)運行管理業務の一元化は、事業の種別ごとに実施し、事業の種別を跨いだ運行管理業務の一元化は行えません。
(3)集約営業所に必要な運行管理者の選任数は、集約営業所が管理する事業用自動車の総数に加え、対象となる被集約営業所が管理する事業用自動車の総数を足し合わせた数に必要な人数とします。
(4)被集約営業所に必要な運行管理者の選任数は、被集約営業所が管理する事業用自動車の台数に応じた人数とします。
(5)実施要領に基づいて集約営業所が行った運行管理業務については、貨物自動車運送事業輸送安全規則第20条の規定に適合するものとします。

3.一元化に用いられる機器・システムの要件

(1)一元化する運行管理業務毎に必要な情報を電磁的方法で保存し、必要に応じて運行管理者が確認できるよう、集約営業所、被集約営業所で保存した情報の共有方法を明確にします。
(2)車両の運行に係る運行管理業務を一元化する場合にあっては、被集約営業所の全ての車両に対して、随時車両の位置情報の把握ができる装置を備え、必要に応じて営業所間で共有できるようにします。
(3)点呼業務を集約する場合にあっては、遠隔点呼を行うこととし、「対面による点呼と同等の効果を有するものとして国土交通大臣が定める方法を定める告示」に基づき点呼を実施します。
(4)運行中の運転者と随時連絡が取れる機器を備えます。
(5)運転者に係る個人情報の保存、共有については、他人に推測されにくいパスワードを設定するなど、事業者ごとに定めた者以外が閲覧できないようにします。
(6)運行管理業務の一元化において使用する機器が故障した場合は、その内容や発生時間などを電磁的に記録します。

※実施要領には、上記のほかに「運用上の遵守事項」等が記されてます。
 この実施要領は、国土交通省または公益社団法人全日本トラック協会のホームページから閲覧できます。

執筆者情報

記事の作成・編集:MS&ADインターリスク総研株式会社

こちらの記事もおすすめです