「流通業務の総合化および効率化の促進に関する法律」および「貨物自動車運送事業法の一部を改正する法律」、いわゆる改正物流二法の施行に伴い関係省令が出されるとともに、「貨物自動車運送事業者等の貨物自動車運送役務の持続可能な提供の確保に資する運転者の運送および荷役等の効率化に関する判断の基準の解説書」(以下、解説書といいます。)が公表されました。そこで今回は、その中から特に貨物自動車運送事業に係る主な内容をご紹介します。
1.運転者一人当たりの一回の運送ごとの貨物の重量の増加に関する省令
「流通業務の総合化および効率化の促進に関する法律および貨物自動車運送事業法の一部を改正する法律」(以下、改正法といいます。)の施行に伴う関係省令が複数出されていますが、貨物自動車運送事業者に関わりの深いのは、「貨物自動車運送事業者等の貨物自動車運送役務の持続可能な提供の確保に資する運転者の運送および荷役等の効率化に関する判断の基準となるべき事項を定める省令」(以下、省令といいます。)です。
この省令は、下記の改正法の規定に基づいています。
第34条
貨物自動車運送事業者等は、自らの事業に伴うその雇用する運転者への負荷の低減に資するよう当該運転者一人当たりの一回の運送ごとの貨物の重量の増加を図るため、輸送網の集約、配送の共同化その他の措置を講ずるよう努めなければならない。
省令には、この改正法に則り、特に運転者一人当たりの一回の運送ごとの貨物の重量の増加(積載効率の向上等)に関わる以下の事項が盛り込まれています。
- 一つのトラックに複数の荷主の貨物を積み合わせて運送することその他の措置により、輸送網を集約すること。
- 荷主、連鎖化事業者、他のトラック事業者または貨物利用運送事業者と協議を行うことその他の措置により、配送の共同化を行うこと。
- 運送の帰路においてトラックに貨物を積載することその他の措置により、トラックの走行距離に占める貨物を積載した状態における走行距離の割合を増加させること。
- 配車計画および運行計画を作成する機能を有する情報処理システムの導入を行うことその他の措置により、配車計画または運行経路の最適化を行うこと。
- 輸送する貨物の量に応じた大型トラックの導入その他の措置により、トラックに積載することができる貨物の重量を増加させること。
2.荷待ち時間・荷役等時間の短縮に関する事項
現状では、荷待ちおよび荷役等にかかる時間が合計約3時間と推計されていることを踏まえ、この1運行当たりの荷待ち時間等が全国平均で合計2時間以内となるよう荷待ち時間等を削減する必要があるとされています。

解説書では、これを達成するために次のような取組みを提示しています。
- 現状ではバラ積みであるが、パレット、ロールボックスパレット(かご車)等の輸送用器具を積み付け、そのまま受渡しを行うことで荷役等時間の短縮を図る
- 一日に多数のトラックが出入りし、トラック予約受付システムの導入により荷待ち時間の短縮が見込まれる施設
- トラックの到着時刻に出荷準備が終わらないことが多く、到着時刻の後ろ倒しまたは出荷準備の前倒しによる荷待ち時間の短縮が可能な運行
- 先着順で積卸しを行っており、順番待ちで受付開始時刻前にトラックの到着が集中しがちで、積卸し時間の予約・指定を行うことで荷待ち時間の短縮が見込まれる施設
- 荷役等の内容の見直し、荷役場所や作業順の明示、作業場の整頓等により荷役等時間の短縮が見込まれる施設
上記を参考にして、事業者の皆さまは荷待ち時間、荷役時間の短縮に取り組みましょう。
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執筆者情報
記事の作成・編集:MS&ADインターリスク総研株式会社