2019年4月より働き方改革関連法案が、順次施行されています。建設業であっても例外ではありません。今回は、時間外労働の割増率について解説します。

 

月60時間超の時間外労働の割増率の引き上げ

割増賃金猶予措置の撤廃

2008年改正労基法(2010年4月1日施行)では、割増賃金率の引き上げに関して「時間外労働が1ケ月に60時間を超える場合、5割以上の率で計算しなくてはならない」と決定しましたが、中小事業主は当面の間、猶予されていました。この猶予措置が2023年4月から撤廃されます。

残業代の計算方法

法定労働時間を超えて働く、また法定休日に働く場合は残業代(割増賃金)の支払いになります。残業代の計算方法の原則ですが、月給者であっても、日給者であっても、まずは時間単価を計算し、それに対して下記の割増率をかけて算出します。建設業の場合、1日労働時間は8時間で残業がなかったとしても、月曜日から土曜日まで働いた場合は、6日目の土曜日は週の40時間超となるため、割増賃金の支払いが必要です。日給者であっても同様です。

割増率
法定労働時間超(1日8時間1週40時間)25%
法定休日(週1日もしくは4週4日)35%
深夜労働(22時~5時)25%

17時~18時 1,200円
18時~22時1,200円×1.25×4時間=6,000円
22時~24時 1,200円×(1.25+0.25)×2時間=3,600円
合計10,800円の残業代になります。

割増率50%以上の考え方

2023年4月からは、左記に解説した法定労働時間超の25%の割増率が、月の残業時間が60時間を超えたときに50%以上の割増率で払わなくてはいけません。具体的にカレンダーでみていきます。

【例】下記のカレンダーのような時間外労働が行われた場合
●1か月の起算日は毎月1日。休日は土曜日及び日曜日、法定休日は日曜日(法定休日労働の割増賃金率は35%)とする。

割増賃金率は、日曜日を法定休日と定めているので、以下のとおりとなります。

■時間外労働(60時間超) 24・30日=50%
■法定休日労働 7・28日=35%

ポイント!!

建設業の場合、時間外労働の上限規制は2024年4月からですが、60時間超えの割増率に関しては建設業だからといった特例はありません。現実的には2024年よりも先に割増率が施行されるのです。ということは、2024年4月まで余裕があると考えるのではなく、2023年4月には月の時間外労働が60時間に押さえられるようにしていきましょう。

執筆者情報

記事の作成・編集:アスミル社会保険労務士事務所

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