常時10人以上雇っている会社には、就業規則の作成および届出義務があります。ただし、昨今のような労働環境が複雑化している中では、これまで以上にルール決めが大切です。

 

採用について

採 用

第○条(採用)

1.使用者は就職を希望する者の中より、選考試験に合格し所定の手続きを経た者を従業員として採用する。

2.従業員は採用されるにあたって、次の各号の書類を提出しなければならない。但し、選考試験にあたって既に使用者へ提出してある書類についてはこの限りでない。

① 履 歴 書(提出前3カ月以内の写真貼付)
② 住民票記載事項証明書の写し(内容は使用者指定)
③ 健康診断書(3カ月以内のもので内容は使用者指定)
④ 源泉徴収票(暦年内に前職のある者)
⑤ 年金手帳、雇用保険被保険者証(所持者)
⑥ 身元保証書
⑦ 誓約書
⑧ 必要により、運転免許証、資格証明書、学業成績証明書、卒業証明書の原本提示の写し
⑨ その他使用者が必要と認めたもの

3.在職中に上記提出書類の記載事項で氏名、現住所、家族の状況、身元保証人等に異動があった場合は、速やかに所定の様式により使用者に届け出なければならない。

4.本条によって従業員から提出された個人情報について、使用者は人事労務管理上の必要においてのみ使用し、その他の目的で使用しない。


採用時に必要な書類

①身元保証書身元保証書とは、自分の「身元」を身元保証人にという第三者に「保証」してもらう書類です。身元保証人とは、企業に何か損害を与えてしまったときの賠償責任の保証と、本人の身元保証の2つの役割があります。実際には、損害賠償にいたるようなケースは稀ですが、身元保証をとるということで、本人の仕事に対する緊張感がうまれるのと、何か起こったときのリスク対策として、身元保証書を提出してもらうことが望ましいです。また、令和2年4月1日から民法が改正され、身元保証をつけるときには、保証上限額を定めた身元保証契約書でなくてはなりません。

②健康診断書

事業主は、従業員を雇い入れた場合に健康診断を実施する義務がありますが、採用日以前3ケ月以内に受診した健康診断書を提出した場合は、雇い入れ時の健康診断を省略することができます。健康診断書は3ケ月以内のものを提出してもらいましょう。

【雇入時の健康診断の検査項目】
1.既往歴および業務暦の調査
2.自覚症状及び他覚症状の有無の検査
3.身長、体重、腹囲、視力及び聴力の検査
4.胸部エックス線検査
5.血圧の測定
6.貧血検査(血色素量及び赤血球数)
7.肝機能検査(GOT、GOT、γ-GTP)
8.血中脂質検査(LDLコレステロール,HDLコレステロール、血清トリグリセライド)
9.血糖検査
10.尿検査(尿中の糖及び蛋白の有無の検査)
11.心電図検査

③入社誓約書

誓約書は法定書類ではありません。しかし、労働者が特に遵守しなければいけないことを改めて書面にすることで、確認・認識の徹底をはかる意味合いで提出してもらうことが望ましいです。複写式かコピーして労働者にも渡しましょう。会社が労働者に守ってもらいたい事柄を最初に明確にしておくことで、後々のトラブルを防止したり、労務管理がしやすくなります。さらに、退職後に会社の秘密事項を漏洩させないことを約束することも目的の一つです。
就業規則を遵守することや、業務上知り得た内容の秘密保持をすること等を誓約書を使って将来に向かって誓約する内容になっています。

執筆者情報

記事の作成・編集:アスミル社会保険労務士事務所

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