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| ■交通事故とは思っていなかった Rさんは、有名な大企業に62歳まで勤めて定年退職し、その後、Fデイサービスに送迎車のドライバーとして採用されました。 |
■道交法の事故発生時の運転者の義務を知らなかった
道路交通法では、交通事故を「車両等の交通による人の死傷若しくは物の損壊」と定義しており、交通事故が発生した際の自動車運転者の義務として、「負傷者の救護義務」と「警察への報告義務」を定めています。つまり、たとえ送迎車両が自転車と接触していなかったとしても、負傷者が発生していれば、負傷者の救護義務と警察への報告義務が発生するのです。
特に救護義務違反は、いわゆる「ひき逃げ」に該当する罪の重い行為であり、逮捕されても仕方ありません。負傷者の救護義務違反に対しては、10年以下の懲役又は100万円以下の罰金、警察への報告義務違反についても、3月以下の懲役又は5万円以下の罰金という刑罰が科されます。この運転手も、免許の点数や行政処分だけでは済まされないでしょう。では、なぜ60歳を過ぎた自動車運転経験の長い真面目な人が、免許を取りたてのドライバーのような初歩的なミスを犯したのでしょうか?

■安全運転適性は運転回数
この運転手は前職で経理・財務一筋で、会社の業務用車を運転する機会がほとんどありませんでした。そのため、実際には休日にしかマイカーを運転しない「サンデードライバー」に近い状態だったのです。運転経験も多くはなく、「ぶつかっていないから交通事故ではない」と判断してしまったのでしょう。
このように分析すると、本トラブルの本当の原因は、前職での運転経験を十分に確認せず、安全運転に必要な経験や適性を十分に確認しないまま人材を採用してしまったことにあると言えます。事故発生時の対応などを含む広い意味での安全運転能力は、自動車の運転経験、特に単純な年数ではなく、実際に運転した回数や経験に大きく左右されます。事故発生時の対応や危険を予測する方法を身につけていくのです。
■本部採用で審査を行う
まじめで誠実な人柄であることは、運転手を採用するうえで大切な要素です。一方で、送迎業務を任せる以上安全運転に必要な経験や適性についても、しっかり確認しておくことが重要です。特に、車椅子を3台も載せるような大きな送迎車は、車体が大きく、内輪差もあるため、乗用車の運転に慣れている人でも注意が必要です。そのため、これまでの運転経験や運転する機会などを確認し、送迎業務に必要な安全運転能力を見極めることが大切です。
また、運転中の発作などによる健康起因事故をはじめ、高齢者による交通事故は、社会的にも大きな課題となっています。こうした事故を未然に防ぐためにも、採用マニュアルを整備し、法人本部などで採用時の確認を行うなど、個人の人柄だけに頼らず、組織として安全運転に必要な経験や適性を確認できる仕組みを整えておくことが大切です。
監修 株式会社安全な介護 山田 滋
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