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降ろし忘れ寸前!最後部座席に横たわっていた利用者 -脳梗塞発作で危機一髪!-

2026/06/30 介護
降ろし忘れ寸前!最後部座席に横たわっていた利用者 -脳梗塞発作で危機一髪!-

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■後部座席点検で驚いたドライバー

 Hさん(82歳男性)は、脳梗塞による半身麻痺がある要介護2のデイサービス利用者です。送迎の順番が一番最初のため、いつも後部の座席に座り、車内ではいつも静かに過ごしていました。
6月のある日、梅雨の晴れ間で久しぶりに空が晴れ上がり、気温も上昇していました。ドライバーは4人の利用者を乗せてデイサービスに到着し、デイのスタッフが利用者を送迎車から降ろして施設内へ誘導していきました。スタッフが全員を誘導し終えたのを確認し、ドライバーは送迎業務を終えようとしました。  
 そのとき、ドライバーはふと「Hさんは降りたのだろうか」と思い、外から車内を確認しましたが、人の姿は見えませんでした。気のせいかと思い、いつものように後部座席の点検のため車内に上がって最後列のシートを見ると、そこにHさんが横たわっていて驚きました。ドライバーは大声で看護師を呼び、5分後には救急車が到着して病院へ救急搬送されました。その日のうちに、Hさんの娘さんからデイサービスへ連絡があり、Hさんは脳梗塞の発作だったものの、幸い搬送が早かったため症状は軽度だったことが分かりました。娘さんは、わざわざ送迎車のドライバーにお礼を言うため来所されました。

送迎中に急変や体調不良が発生することもある

■7月は降ろし忘れ事故が多発、6月は?

 過去の送迎車からの降ろし忘れによる死亡事故は、その多くが7月に起きています。その理由としては、「初夏のため車内点検が徹底されていない」「暑さに身体が慣れていない」などが指摘されていますが、では6月はどうなのでしょうか。
 6月の車内温度は、日差しが強い日にはわずか15分で40度を超え、1時間で50度を超えるほどの灼熱状態になります。つまり、過去の悲惨な事故は、たとえ6月に起きていたとしても、死亡事故につながっていた可能性が高いのです。「炎天下の車内に放置されたら、1時間でも命が危ない」と肝に銘じましょう。

■6月になったら降ろし忘れ事故対策の再徹底を

 送迎車の降ろし忘れによる死亡事故が何度も再発しているのは、運転手のミスが原因だと考えられ、施設として組織的な対策を取ってこなかったためです。2022年に牧之原市の認定こども園で起きた降ろし忘れによる死亡事故をきっかけに、幼稚園と保育園にはこども家庭庁がアラームの設置を義務付けました。 
 ところが、昨年も園長がアラームを意図的に切ったため、降ろし忘れ事故が起きています。降ろし忘れ事故の対策は、運転手一人で行うものではなく、組織全体で取り組むべきものです。送迎車の降ろし忘れ事故対策は、次の3点ですので、ぜひ6月から徹底してください。

・送迎車到着時に運転手が後部座席に上って座席上を目視点検する。
・送迎業務終了後、送迎車の駐車前にデイサービスのスタッフが運転手と二人で車内点検を行う。
・デイサービスのスタッフで係を決めて、来るはずの利用者が来ていなければ家族連絡を入れる。

■急変・体調不良でシートに横たわったら見えない

 本事例から得られる大きな教訓は、降車後の車内点検が、降ろし忘れ事故を防ぐためだけに行うものではないということです。送迎中に脳梗塞の発作が起きた事例も、これまでにいくつか報告されています。多くの場合は他の利用者が異変に気付くのですが、本事例のように、体調の急変で最後列の座席に横たわってしまった場合は、運転手が点検を行わない限り発見することができません。

 

監修 株式会社安全な介護 山田 滋

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