オリジナルファイルのダウンロードはこちら ダウンロードダウンロード
| ■「注意深く介助する」という再発防止策 特別養護老人ホームに入所中のMさんは、早朝にふらつき転倒しそうになることがありました。介護主任は、担当職員であるHさんに対し、離床介助の際は注意するよう繰り返し指示していました。 |
■事故報告書の記載
なぜ事故報告書の事故原因欄や再発防止策の欄に、このような内容が書かれてしまったのでしょうか。それは、事故カンファレンスを行わず、事故を起こした職員が一人で報告書を書いているからです。事故を起こした本人は、自分の不注意が原因だったと感じているため、十分な分析を行わないまま、そのように記載してしまうのです。したがって、管理者はこのような事故報告書を、そのまま事故の説明に使用してはいけません。では、本事例の事故はどのように家族へ説明すべきだったのでしょうか。まず、事故を起こした本人だけでなく事故が発生した職場全体で事故カンファレンスを行う必要があります。そして、個別のリスクやそれに対する適切な介助方法について十分に検証したうえで、事故の内容を報告すべきでした。
では、再発防止策を検討しなければならない事故と、そうでない事故はどのように区分したら良いのでしょうか?
介護事故はその性質によって図のように5つに区分し、対策検討の方向性を変えることで、事故に合った効率的な対策を講じることが可能です。
■介助中の事故は時間をかけて分析する
さて、事故は起きたら事故カンファレンスを行い事故原因を分析し再発防止策を検討しなければなりませんが、事故の種類によって再発防止策の優先順位があります。例えば、転倒事故は3種類に分けて介助中の転倒を最優先に検証する必要があります。なぜなら、図のように介助中の転倒事故が最も防止義務が大きい過失になりやすい事故といわれているからです。

■原因分析の方法
では、本事例の事故カンファレンスでは、どのような点を検証すべきでしょうか。
まず、Mさんはもともと早朝にふらつきが多い利用者でした。なぜ早朝にふらつくのでしょうか。その原因の半分以上は服薬によるものです。具体的には、向精神薬や血圧降下剤、血糖降下剤などが影響している可能性があります。
もし服薬内容の変更が可能であれば、対策の一つとして検討する必要があります。
次に、介助の方法です。ふらつきが起きてバランスを崩した場合には、必ず最初からやり直さなければなりません。これは介助方法における鉄則であり、最低限守るべき基本的なルールです。
そして、もう一つの問題は車椅子です。なぜMさんのお尻が車椅子に引っかかってしまったのでしょうか。車椅子のアームレストを上げないまま介助を行った可能性もありますし、もともとアームレストが上がらない古いタイプの車椅子であった可能性も考えられます。
このように、事故の原因は「利用者側の要因」「介護職側の要因」「介助環境の要因」という三つの視点に分けて検討する必要があります。そして何よりも重要なのは、検討した安全な介助方法を、職員全員で実際に確認しながら実践してみることです。
監修 株式会社安全な介護 山田 滋
※本ニュースを無断で複製または転載することを禁じます。