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| ■できもしない再発防止策 特養S苑では、運営基準で義務付けられているとおり、発生した事故についてリスクマネジメント委員会で再発防止策を検討し、全職員に周知しています。ある時、車椅子の認知症利用者が突然立ち上がり、一歩も踏み出さないまま前方に転倒し、前頭部を強打して重傷を負う事故が起きました。職員はすぐ近くにいて駆け寄りましたが、間に合いませんでした。事故防止委員会で再発防止策を検討しましたが、「認知症の利用者には注意して見守る」といった対策しか出てきませんでした。 |
■介護事故は防ぎようがない事故が7割
主任が異議を唱えた通り、防ぎようがない事故は、介護事故の7割を占めているといわれています。防ぎようがない事故に対して再発防止策を検討することは本当に必要なのでしょうか。また、防ぎようがない事故は、契約上の安全配慮義務違反とはみなされにくく、賠償責任が発生しない場合も多いのです。
では、再発防止策を検討しなければならない事故と、そうでない事故はどのように区分したら良いのでしょうか?
介護事故はその性質によって図のように5つに区分し、対策検討の方向性を変えることで、事故に合った効率的な対策を講じることが可能です。
■対策検討の方針も重要
下図のように事故を分類し、それぞれに応じた対策を検討することで、より効果的な対応が可能になります。例えば、本事例のような「防ぎようがない事故」に対しては、再発防止策ではなく、事故発生時の損害を最小限に抑える「損害軽減策」の検討が重要です。さらに、防ぎようのない事故であることを踏まえ、ご家族に事故のリスクを理解していただくことも不可欠です。

■ある社会福祉法人の取り組み
介護事故は利用者の生活動作から起こる事故がほとんどであり介護職員の手で防げる事故は極めて限定的なのです。ある社会福祉法人では、「介護事故の5つの区分」に基づいた取り組みをコンサルティングを受けながら行い、防ぐべき事故とされる区分1~3の事故を重点的に削減しました。 約10年間の取り組みの結果、ルール違反や人的ミスによる事故はほぼなくなり、事故防止活動に費やす職員の労力も半減しました。 その結果、現場の介護職員は介護業務に集中できるようになり、ケアの質が向上、さらには職員の業務満足度も高まりました。 生産性向上を目指すなら、事故防止活動の効率化も検討してみてはいかがでしょうか。

監修 株式会社安全な介護 山田 滋
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