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保育ニュース<3月号>給食中の誤飲・窒息事故―「食べる」に潜む見えにくいリスク―

2026/03/19 保育
保育ニュース<3月号>給食中の誤飲・窒息事故―「食べる」に潜む見えにくいリスク―
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◆午前11時過ぎ、1歳児クラスの給食時間。「いただきます」の声とともに、人参と鶏肉の煮物を食べ始めるAちゃん。いつもより食べるペースが速く、次々と口に運んでいきます。

 保育士のBさんは隣の子を介助中。その時、少し離れた席でスプーンが床に落ちる音。「今拾うからね」―ほんの数秒のこと。 視線を戻すと、Aちゃんの動きが止まっていました。泣き声もなく、静かに。表情が固まり、喉元が動いていません。―詰まっている。

 窒息は音もなく静かに進行します。この数秒が、命を分ける瞬間でした。

 

何が原因だったのか?どうして起きたのか⁉

 

この事故の背景には、誰もが経験する日常の保育場面がありました。

・食べるのが早い子であったこと(個人差は大きい)
・1歳児の噛む力・飲み込む力は発達途中であること
・複数の子どもの介助を同時に行っていたこと
・配膳、介助、片付け…タスクが同時進行する給食時間であったこと
・予期しない出来事(スプーンを落とす等)が次々と発生したこと

 

乳幼児にとって「食べる」ことは、噛む・飲み込む・姿勢を保つ・周囲を見るなど、複数の動作を同時に調整する高度な活動です。さらに窒息事故の怖い点は、泣かず・音を立てず・静かに進行すること。周囲からは普通に食べている"ように見えてしまうのです。

 

ではどうすればよかったのでしょうか?

 

環境と体制を見直そう

 

 個人の注意だけでなく、食事環境全体を見直すことが重要です

 

✓ 食べる力の情報共有  「丸のみしやすい」「噛む力が弱い」など個々の特徴を、栄養士・担任・全職員で共有。朝礼や連絡ノートで日々更新します。
✓ 見守り体制の工夫  給食時間の役割分担を明確に。「誰が全体を見るか」を決め、視線の空白地帯を作らない配置を工夫します。
✓ 環境と姿勢の確認  足が床につく椅子の高さ、適切な距離のテーブル配置、急がせない雰囲気づくり。環境面からも安全を支えます。

 

 

給食中の窒息事故は、どの園でも起こりうる事故です。「危ない食材」だけでなく、発達段階・姿勢・環境・見守り体制を合わせて見直すことが予防につながります。
毎日繰り返される給食時間だからこそ、「いつもと同じ」を疑い、継続的に点検していくことが子どもの命を守ります。

 

☆日常の給食時間にこそ、リスクマネジメントの視点を☆

執筆:八重樫 貴之 作業療法士


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