降ろし忘れた園長だけの責任ではない

4度目の送迎車降ろし忘れ死亡事故が起きました。7月29日福岡県中間市の保育園で送迎バスを運転していた園長が、5歳の園児を降ろし忘れて放置し死亡させました。実は過去に3回同様の事故が起きています。1回目は2007年7月27日、北九州市の無認可保育園で今回と同様の事故が発生。2回目は2010年7月24日、千葉県のデイサービスで、3回目は2017年7月13日に埼玉県の知的障害者施設で同様の事故が起きています。事故の直接原因は運転手の園長が園児(利用者)の降車確認を怠ったことですが、人のミスがそのまま死亡事故につながるような業務手順が問題なのではないでしょうか。

ヒューマンエラーの事故防止対策は、「ミスを防ぐための対策」と「ミスが発生した時ミスを発見するチェックの仕組み」を作り、2重のリスク回避策を組み合わて万全を期すことが重要です。二度とこのような悲惨な事故を繰り返さないために、どんな対策が必要なのでしょうか?

「送迎車降ろし忘れ防止対策マニュアル」で徹底!

事故報告書の再発防止策は信用できない

 ヒューマンエラーによって発生する事故の防止対策にはセオリーがあります。人はどんなに注意深くても必ずエラー(ミス)をしますから、ミスをした時にミスを発見するチェックの仕組みから損害発生時の損害の最小化対策までを組み合わせなければいけません。具体的には、「ミス」と「事故」と「損害」に区分し、各々のステージにおいて対策を講じていくことになります。「人のミス」が原因で「事故」が起こりその結果として「損害」が発生する」と考えます。そして、「ミスを防止する対策」と「ミスを発見し是正する対策」と「事故の損害を最小化する対策」の3つの対策を講じます。

誤薬の防止対策と仕組みは同じ

 誤薬事故防止対策マニュアルでは、ミスを防ぐ仕組みとして「薬のピックアップミス」と「利用者の取り違えミス」を防ぐ手順を決めます。例えば、お薬ボックスから薬をピックアップする時に、職員二人で薬袋の利用者名を読み上げて確認する」などです。そして、ミスを発見して是正する対策では、「服薬直前に手に取った薬と目の前の利用者を本人を、お薬確認カードの写真と照合する」などの対策を講じています。事故の損害を最小化する対策は、「即受診の励行」です。

降ろし忘れ防止対策の仕組み

 送迎車の降ろし忘れ防止対策マニュアルも、誤薬防止対策と同様3つの場面に分けて作ります。

別添の送迎車降ろし忘れ事故防止マニュアルを活用し、事故防止の徹底を!
●ダウンロードはこちら(データ容量の関係で2つに分けて掲示します)
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執筆者情報

監修 株式会社安全な介護 山田 滋 

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