感染症の流行で外出を自粛しなければならない生活が続き、子どもたちも家の中で過ごす時間が長くなっています。遊びも限られ、テレビやゲームで時間を持て余すことも多いのではないでしょうか。テレビやゲームも上手に付き合うととても便利で役立つツールであることは間違いありません。しかし、液晶のような狭い範囲で、わかりやすい情報を手軽に与えられ続ける便利な環境に慣れすぎてしまうことで、子どもたちの認知の発達に重要な「見る力」の育ちに大きな影響を与える可能性があります。

「見る力」ってなに?

「モノを見る力」は、いわゆる「視力」だけでは表せません。
 ― モノの特徴(形・色・大きさなど)を捉える力
 ― 複数のモノの中から目標とするものを探し出す力(注意を集中し、ピンポイントで注視する)
 ― 連続したモノの集合体として全体を捉える力(視野を広げ、注意を分散する)
 ― より正確にモノの特性(質感・細かい形状・奥行きなど)を捉える力  など

⇒ 正確にモノを「見る」ためにはさまざまな経験とステップが必要となります。

1)「見る力」が育たないとどうなるの?

 ― 姿勢が悪くなる ― 注意が散漫になる ― 疲れやすい
 ― 大雑把に捉えて判断してしまうため、思い込みや勘違いで間違えることが多い
 ― 理解がイメージとむずびつかず、言葉や考える力の発達が遅れる
 ― 言葉はなんとなくわかってもどう行動したらよいのかわからない(「指示に従えない」ように見える)
 ― 手元や道具との距離感がつかめず手先を使う作業が難しい
 ― 文字や絵の形が崩れたり、苦手に感じたりする ―文字を読むのが難しい ―運動が苦手に感じる
 ― 想像することやイメージすることが苦手になる ―視野が狭くなる    など 

⇒ 生活や学習、自信や意欲につながるさまざまな困りや苦手意識、経験不足につながります。

2)幼児期に「見る力」を育てるための関わりとは?

幼児期の「視機能」はまだまだ未熟で未発達です。
「ちゃんとは見えていないつもり」で、うまく見せるための工夫や見たくなる演出を考えて、「目を使ったあそび」を提案してみましょう。

よく「見る」「感じる」実際に「やってみる!」で子どもは豊かに育ちます。

執筆者情報

株式会社東京リハビリテーションサービス
言語聴覚士 堀川 由樹子

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