事例紹介

気温が下がり乾燥しがちな冬は、風邪などの流行が心配で園でも感染対策には気を遣います。
年長クラスの担任である保育士A先生。手洗いを徹底させたいと思い、園児のみんなに頻繁に手洗いをするように声を掛けていました。しかし、クラスにはどうしても手洗いがスムーズにいかない園児がいました。
5歳の男の子S君は、いつも手洗い場で水を流しっぱなし、ふざけてお友達と水を掛け合いっこしたり、あげくのはてには石鹸がついたままで、「洗った!」と言ってすぐに遊びに行ってしまいます。6歳の女の子Rちゃんは、いつも手洗いになると嫌がってしまい、手洗い場に行こうとしません。また、水道の前にきても、なかなか手を出さずに時間がかかってしまいます。
この時期の手洗いは、感染対策として避けては通れない日々の行動です。子どもたちに手洗いをどうしたら習慣づけられるのか考えてみましょう。

こどもに手洗いが習慣化しない原因は?

子どもが手洗いを何のために行うのかわからず、うまく習慣化させられないといった経験はありませんか?
理由は子どもによって様々です。例えば、
・細菌やウイルスなど目に見えない汚れに対して、必要性が感じられない
・水が好きで、目の前の水に反応して遊んでしまう
・過ごし慣れない環境での手洗いを嫌がってしまう
・指の間など細部まで自分の手に対してイメージを持てない
簡単に思える活動でも、手洗いの意味を理解し、手の細部まで洗う方法を習得し、それを習慣化する。子どもにとっては、意外と難しい行動かもしれません。

正しい手洗い方法は?

手洗いの目的は、清潔を保つことです。
正しい手洗い方法は、流水で手を濡らし、石鹸を良く泡立て、手のひらだけでなく、指の間、手の甲、手首まで洗い、泡がなくなるまで十分にすすぐ。大人でも完璧に行うには大変ですね。
どうしても流水下での手洗いが難しい子どもは、手指消毒用アルコールのみでも、適当量を使用し基本の手洗い方法で行えば、流水下手洗いと同じ効果が得られると言われています。

支援のポイントは?

手洗いを、行動と動作に分けて考え、習慣化(ルーティン作り)していくことがポイントです。

<手洗い活動のルーティン作り>

・一日の予定の中に「手洗い」を組み込む
手洗いのタイミングから習慣づけていきます。まずは、「外から帰ってきたら」「トイレの後」「おやつの前」などは、大人と一緒に手を洗う習慣を作りましょう。
・写真などを使って視覚化する
見通しを持てない子どもの場合、例えば、「靴箱」の写真→「洗面所」の写真→「おやつ」の写真など子どもの理解度に応じて文字やイラストを使って視覚化しましょう。

<手洗い動作のルーティン作り>

・子どもの手が蛇口に届くか、自分の手が見える洗面台の高さか確認しましょう。
・手首、手掌、指の間など目に見えないところは、一緒に手を取って感覚で覚えてもらいましょう。
・歌を歌うなど、リズムに合わせて手洗いの順序を習得しましょう。
・水で遊んでしまう子どもには、手洗い場以外に水で遊ぶ機会を充実させ、手洗い場では遊ばないことを意識しましょう。
他にも子どもの特性に合わせて様々な工夫があります。好きなキャラクターが装飾された、泡石鹸が自動で出てくるような石鹸ポンプを利用する、など手洗いを楽しいことと思わせるのも良いですね
・先生のペースに合わせすぎず、子どものペースで取り組める工夫を取り入れながら、習慣化を目指していきましょう。

出来そうで習慣化が難しい「手洗い」、まずは大人と一緒に、
手洗い活動と手洗い動作のルーティンづくりを目指していきましょう!

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