◆子ども家庭庁の「令和5年教育・保育施設等における事故報告集計」では、負傷等の報告は 2,763 件(対前年+307)、そのうち 2,189 件〔79%〕(対前年+292)が骨折によるものと報告されています。鬼ごっこ中に手をついて転んでしまって上腕骨折、お散歩で石に躓いて転倒してしまい足を骨折、廊下で走っていて出会い頭にお互いがぶつかって鎖骨骨折など、園での生活のさまざまな場面で子どもが骨折をしてしまうリスクがありますが、どのような対策を講じたらよいのでしょうか。
◆子どもの骨折の特徴
身体が成長途中の子どもの骨は大人と異なり弾力性があるので、子どもの骨折は大人のように「ポキッ」と折れるのではなく、亀裂を生じながら部分的に折れ曲がる不完全骨折となりがちです。若い木の枝を折り曲げた状態に似ていることから若木骨折と呼ばれています。骨折部位は、手をついて転ぶことが多いので、上腕の骨折が多いと言われています。
◆子どもは自分の様子を伝えられない!!
子どもは痛みなどの自分の様子を言葉で上手に伝えられないため、以下の状態は骨折を疑いましょう
・痛がって激しく泣く
・皮膚の一部がひどく腫れている。内出血している。
・腕や足に力が入らない。腕が上がらない。腕や足の向きがおかしい など
*子どもは「骨が折れる」という感覚は分かりにくいので、走って転倒してしまったり遊具から落下してしまった時は、骨折を疑いましょう。
【応急処置】
患部は動かさず、その部分を副木(そえぎ)で固定し、心臓より上に上げた状態で冷やします。まっすぐに固定できる物ならなんでもかまいません。ポイントは、骨折した部位の上下の関節も含めて固定することです。こうしないと、すぐに患部が動いてしまい、固定している意味がなくなります。患部より大きめ(長め)の物を副木にしましょう。
◆骨折を防ぐための園生活のポイント
安全な環境の整備:設備点検や滑り止めマットを敷くなど
安全教育:危険な箇所や遊具の遊び方の説明や声かけ
年齢に合った活動:年齢や発達に応じた遊びの提供
適度な運動:転倒しにくい身体を作る
適切な食事:骨を強くするために、カルシウム・ビタミンDの摂取
園庭や遊具など、転倒・落下にて骨折しやすい場所がないか確認してみましょう